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2017.12.18(月)

[レポート] デロイト、東大、オランダ大使館がコラボ、サイバーセキュリティ人材育成

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東京大学情報学環とデロイト トーマツ サイバーセキュリティ先端研究所(DT-ARLCS)は、東京大学に所属する学部生、大学院生を対象としたサイバーセキュリティ人材育成プログラム「デロイトトーマツ x 東京大学 SiSOC サイバーセキュリティトレーニング」を9月17日から9月19日の3日間、東京八重洲の東京大学情報学環セキュア情報化社会研究寄附講座(SiSOC-TOKYO)のオフィスにおいて開催した。

●2020年までに500名のT-CIRP人材を育成

講師はデロイト オランダのJoost Kremers氏とHugo van den Toorn氏が務める。3日間のトレーニングを通じて優秀と認められた受講者には、オランダ大使館の協力によりオランダへの研修旅行が提供され、デロイト オランダを含めた先進的なサイバーセキュリティの取り組みを行っている企業などを見学する。

9月17日に開催されたオープニングセレモニーでは、主催者の東京大学大学院 情報学環の教授である須藤修氏、DT-ARLCSの所長である丸山満彦氏、後援者のオランダ王国大使館のイノベーション科学技術部参事官であるヤン・ハイン・クリストッフェルス氏が挨拶を行った。

須藤氏は、「特に希望するのはT-CIRP(Top-Cyber Incident Response Professional)、アメリカや文部科学省が言うところの「トップガン」の人材である。そういった高度な人材が、東京オリンピックまでに約500人が必要となる。このレベルの人材を育てたいし、意欲のある人はぜひこの分野で活躍していただきたい」とした。

また、「この3日間は能力を大幅に増大するチャンスであり、今後の発展の可能性もある。優秀な方はオランダに招待されるので、ぜひヨーロッパの今の状況を見ていただきたいと思う。この3日間で能力を大きく飛躍させて欲しい。今後の活躍に期待している」と締めくくった。

●トレーニングはデロイト オランダの講師が担当

丸山氏は、「今回は14名の方々に参加していただき、非常にうれしく思っている」と述べ、デロイト オランダのメンバーは、今回の脆弱性テストや侵入攻撃の模擬演習、攻撃された後のフォレンジック調査などのメンバーなどたくさんおり、サイバーセキュリティのオリンピックでも、去年に引き続いて今年も優秀な成績を収めているという。

また、実際の現場でもチームで対応するので、自分の能力とメンバーの能力をうまく組み合わせるチームワークを学んで欲しいとし、「3日間、祝日も使っての勉強になるので、皆さん有意義に過ごしていただければと思います」と締めくくった。

なお、今回のトレーニングは、デロイト オランダで実施している5日間のトレーニングのうち3日間の内容となっており、それに満永氏のリクエストに応えてアレンジしている。また、日本のデロイト社員向けのトレーニングは5日間の内容を行うという。

後援者であるオランダ王国大使館のヤン・ハイン・クリストッフェルス氏は、「こうした形で日本とコラボレーションできることをうれしく思う。日本はオリンピックも控えていて、これからサイバーセキュリティがより重要になる。また、日本とオランダの関係は長く、日本が鎖国していた時代から福澤諭吉をはじめとする蘭学者と交流があった。現在、オランダは欧州のインターネットのハブとなっている。そのサイバーセキュリティの最先端を学ぶ機会にスポンサードできることに喜びを感じている。素敵な3日間になるよう、がんばってください」と述べた。

●セキュリティの「いい未来」を見せたい

最後に、同学環のセキュア情報化社会研究の特任准教授である満永拓邦氏が、今回のトレーニングの概要について説明した。SiSOC-TOKYOでは、人材育成と学術研究の大きく2つの柱で活動している。このトレーニングではサイバーセキュリティの向上に資する人材の育成であるが、「悪用はやめて欲しい」と力を入れた。たとえば、トレーニングにはWebサイトのハッキングもある。ここで期待しているのは、ハッキングを学ぶことで攻撃手法を理解して、それを守ることに役立てることとした。

また、「今回の3日間ですべて習得できるものではないので、今後ステップアップしていくきっかけになればいいと考えている」という。受講生には今後、企業から依頼を受けてセキュリティ対策を行える人材や、研究者になって欲しいと考えているが、学生にとってセキュリティは先が見えない世界であり、「それならGoogleに行った方がいい」と思っている。私たちも彼らにセキュリティの「いい未来」を見せられるようにしたいと語った。

なお、須藤氏はセレモニー後の取材で、今回のトレーニングを受講した学生には、SiSOCから修了証が渡され、これがあれば東大のネットワークで相応の人材として見てもらえるという。しかし「もっとレベルを上げて、国際的な場を学生に与えたい」とした。また、今回が第一期であり、頻度は確定していないが最低でも年に1回は実施したいと述べた。東大の内部でも高度なセキュリティトレーニングのコースがあるが、「まだまだ、相当やらないと間に合わない」と人材不足の現状を語った。
《吉澤 亨史》

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