トレンドマイクロ株式会社は11月16日、日本国内および海外でのセキュリティ動向を分析した報告書「2016年第3四半期セキュリティラウンドアップ:アンダーグラウンドが加速させるランサムウェアの脅威」を公開した。報告書によると、2016年第3四半期に全世界で検出された脅威(ファイル、メール、Web)の合計数は220億近くに達し、第1四半期の132億、第2四半期の155億からさらに増加した。不正URLは減少に転じているが、スパムメールと不正ファイルは増加しており、脅威がスパムメールの添付ファイルに依存している状況であるとしている。また、同四半期のランサムウェアの国内検出台数が34,200台となり、前四半期の約4.1倍に増加、同社の観測以来、最大の数値となった。これは世界的にも同様の傾向であるという。攻撃者は、大規模な攻撃が容易に行えるアンダーグラウンド市場のサービスを利用していると思われる。最近では、ランサムウェアの使用者(購入者)が得た身代金のうち何割かを提供者(販売者)が受け取る契約形態のサービス型ビジネスモデル「RaaS:Ransomware as a Service」が確認されている。同四半期はまた、オンライン銀行詐欺ツールの国内検出台数が39,900台と、前四半期の約4倍に急増、過去最大となった。特に「BEBLOH(別名:URLZONE)」と「URSNIF(別名:GOZI)」と呼ばれる2種類のオンライン銀行詐欺ツールの大量流通が確認され、国内の検出台数のうちこの2種類が約93%を占めた。これらの感染を狙う不正メールの件名は、「ファイル送付の連絡」や「特許関連資料」といった、日本国内のユーザが添付ファイルをクリックしてしまう心理を巧みにつくものとなっている。