CODE BLUE 2015 セッションレポート 第5回 拡張性を備えた解析プラットフォームの実現にチャレンジ | ScanNetSecurity
2024.04.20(土)

CODE BLUE 2015 セッションレポート 第5回 拡張性を備えた解析プラットフォームの実現にチャレンジ

黒米祐馬氏の講演は「PANDEMONIUM:動的バイナリ計装とファジーハッシュを使用した暗号アルゴリズムの自動識別」と題するセッションだ。同氏は慶応義塾大学の学生であり、セキュリティ・キャンプの講師も務めている。

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日本発の国際セキュリティ会議 CODE BLUE 2016 は10月14日(金)まで最終登録受付中。10 月 20 日、21 日の開催は来週に迫っている。本稿では昨年開催された CODE BLUE 2015 をふりかえり特に興味深かった講演をレポートしている。

CODE BLUE 2016
http://codeblue.jp/2016/registration/
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●不足と言われるセキュリティ人材、でもそんなことはない?

とかく足りないと言われるセキュリティ人材。日本国内だけでも8万人のセキュリティ人材が不足している、などとする調査結果も報告されている。こうした状況を背景に政府も、2015年9月に閣議決定された「サイバーセキュリティ戦略」の中で、セキュリティ人材の育成に力を入れる方針を示している。

今回のCode Blueでは、若いセキュリティ研究者に発表の機会を与えるという目的で、新たに「U-25」枠を設けた。多くの申し込みがあった中から発表を行ったのは、いずれも日本の若い学生だった。

黒米祐馬氏は、「PANDEMONIUM:動的バイナリ計装とファジーハッシュを使用した暗号アルゴリズムの自動識別」と題するセッションを行った。同氏は慶応義塾大学の学生であり、セキュリティ・キャンプの講師も務めている。

●マルウェアが用いる暗号アルゴリズムの自動識別を目指す「PANDEMONIUM」

昨今、マルウェアは自らを容易に解析されないよう、何らかの形で暗号化や難読化といった解析妨害手段を講じている。黒米氏はこうした状況に、「マルウェアが用いる手法の複雑化、細分化に、解析プラットフォームが追いついていない」と感じ、マルウェアが用いる暗号アルゴリズムを自動的に識別できないか、と考えたそうだ。

そこで開発したのが、拡張可能な解析プラットフォーム「PANDEMONIUM」だ。これは、QEMUの拡張機能である「Panda」のエミュレーション機能を活用したものだ。あらかじめマルウェアのプロセスのみを抽出し、そのシグネチャをファジーハッシュで作成しておく。そしてPanda上でのマルウェア実行結果をLLVM中間表現に変換し、作成しておいたファジーハッシュと参照、比較することによって、用いられている暗号アルゴリズムを検出するというアプローチだ。

同氏はPANDEMONIUMの性能を8種類のマルウェアを用いて検証してみた。「Dyre」については5種類中の4種で判別できたのに対し、独自の難読化手法を採用している「KINS」ではうまくいかなかったそうだ。

「LLVMの最適化によって、本来解析したい場所のコードが消えてしまったのかもしれない。現代的な手法を用いたマルウェアについては難しいかもしれない」と黒米氏。今後は、暗号鍵の抽出や道の暗号アルゴリズムへの対応といった課題に取り組んでいくという。
《高橋 睦美》

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