フォーティネットジャパン株式会社は3月8日、「FortiGuard Labs アップデート 日本を狙った脅威の傾向」と題する記者説明会を開催した。FortiGuard LabsはFortiGuardのリサーチ部門で、日本にも設置されている。Fortinetのグローバルセキュリティストラテジストであるデレク・マンキー氏は、FortiGuard Labsでは2016年、1分あたり約47万件のネットワークへの侵入を阻止し、9万5,000件のマルウェアに対処したという。また、マルウェアは引き続き増加しており、ここ2年で10倍になっていると指摘した。日本の脅威の状況では、ボットネット感染数は世界で3位、エクスプロイトも同じく3位、マルウェアの検出数では同2位となった。マンキー氏は今後の懸念点として、M2Mネットワークにおける攻撃の台頭、Snapchatのようなコンテンツ保護ページから痕跡を残さず情報を抜き取るようなGhostwareによる攻撃を挙げた。FortiGuardのセキュリティストラテジストである寺下健一氏は、日本を狙った脅威の動向を説明した。2016年1月から3月のIPSにおける検知数では「NTP.Monlist.Command.DoS」が半数以上を占めた。これはNTPの脆弱性を利用したDDoS攻撃であるという。アンチウイルスにおける検知数では「W97M/TrojanDownloader.34B7!tr」が3/4近くを占め、これはランサムウェアに関連するダウンローダーで、「Locky」や「TeslaCrypt」などが引き続き拡散されている。ボットネット通信の検知数では「Zeroaccess.Botnet」が半数近くを占めた。日本では、ボットネットによる通信の検出数が2016年に入って急激に増加しており、2月末からは「Locky」の活動が活発になっているという。「Locky」は脅迫文を日本語で表示することが特長だが、同社のサンドボックス製品「FortiSandbox」はこれらをゼロデイで検出できるとした。さらにサイバー犯罪の組織化にも触れ、攻撃者はさまざまなツールやサービスを利用でき、アフィリエイターなども活用できる環境にあるとした。