本誌は 2014 年夏、ラスベガスで開催された DEF CON 23 の会場で、会計ファームのデロイト社の、アルゼンチンにあるサイバーセキュリティチームのリーダー Luciano Martins 氏を取材した。「4大会計事務所」のひとつとして、日本国内では監査法人としてその名を知られるデロイト トーマツ グループが、国毎にサイバーセキュリティチームを擁し、SOC 運営やマルウェア解析、C&C サーバの調査までを行っていることは、まだあまり知られていない。上記斜体文章は、そのとき書いた記事一部引き写しだが、この状況はいまもそれほど変わってはいないだろう。当時、情熱的に本誌の取材にこたえた Martins 氏は、アルゼンチンはまだまだサイバーセキュリティの市場需要が小さいため、国外に顧客を求めており、今後グローバルでのデロイト アルゼンチン サイバーセキュリティチーム の存在感を増していきたいと語っていた。そんな Martins 氏の夢が実現したようなデロイトのサイバーセキュリティチームがスペインにあるという。マドリードにあるデロイトスペインのサイバーセキュリティサービスは総勢 200 名。うち 160 名が SOC のスタッフで、世界各国にサービスを提供し、EU 圏のデロイト社の、セキュリティオペレーションの中心的役割を果たしているという。本誌は 2015 年末、デロイト トーマツ リスクサービス株式会社の協力のもと、マドリードの SOC とその代表者、新しく開設されたバルセロナの SOC とその代表者、そして、バルセロナ SOC と新規に契約を結んだ直後であるスペインの大手金融機関のサイバーセキュリティの責任者を取材する機会を得た。何回かにわたってレポートをお届けする。