株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は8月31日、インターネットの基盤技術に関する最新の技術動向や、セキュリティ情報を紹介する技術レポート「Internet Infrastructure Review(IIR)」のVol.28を発行した。今号では、2015年4月から6月までの3カ月間に発生したインシデントと期間中に発生したセキュリティ関連の着目すべき事象について解説している。レポートでは、期間内のインシデント傾向として、国内外の複数の公的機関で、不正アクセスや標的型攻撃などによる大規模な個人情報の漏えい事件が相次いだこと、国内の金融機関や企業に対して、ビットコインによる支払いを要求する脅迫を伴ったDDoS攻撃が発生したことを挙げている。6月には、日本年金機構でメールに添付されていたマルウェアに感染したことで、101万人分の個人情報が漏えいした。この事件がきっかけとなって、その後、複数の企業や団体、病院や大学などで昨年9月より継続して同様の事件が起きていたことが明らかになった。これらの事件では共通して、フリーメールなどを利用して発信元を詐称し、マルウェアが添付されたいわゆる標的型メールによって感染したとされており、感染した後に端末自身のファイルや共有サーバなどのファイルを外部に送信していたことなどが分かっている。同じようにメールによるマルウェア感染としては複合機からのメールを装った事例や、いわゆる「水飲み場攻撃」も報告されている。またフォーカスリサーチでは、機械学習のセキュリティ分野への応用、日本国内を対象としたドライブバイダウンロードに多用されている「Angler Exploit Kit」の機能概要、パスワード認証に置き換わる、新たな認証技術の動向などについて紹介している。