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七月八日 午後 工藤伸治
サイエッグ社にはオレひとりで向かった。会社に着くと、システム部長補佐の柳沢という男が、オレを会議室に案内してくれた。眼鏡をかけたやせた中年の野郎だ。笑っているわけではないのだが、どこかしらへらへらしている感じがする。システム屋やWEB屋に、よくいるタイプだ。
「困ってるんですよねー」
と他人事のように言うと、柳沢は紙を配ってべらべらとしゃべり出した。口調は軽いが緊張しているのがわかる。それを隠すためか、へらへらした笑みが大きくなった。
事件は単純だった。
七月八日 午後 工藤伸治
サイエッグ社にはオレひとりで向かった。会社に着くと、システム部長補佐の柳沢という男が、オレを会議室に案内してくれた。眼鏡をかけたやせた中年の野郎だ。笑っているわけではないのだが、どこかしらへらへらしている感じがする。システム屋やWEB屋に、よくいるタイプだ。
「困ってるんですよねー」
と他人事のように言うと、柳沢は紙を配ってべらべらとしゃべり出した。口調は軽いが緊張しているのがわかる。それを隠すためか、へらへらした笑みが大きくなった。
事件は単純だった。