NPO日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)セキュリティ市場調査ワーキンググループは6月1日、「2014年度 情報セキュリティ市場調査報告書」を公開した。これは同協会が2004年度以来、継続して実施しているもの。2014年度調査では、従来方式を一部簡略化し、個別推計調査、ワーキンググループメンバによる議論を踏まえて全体集計・推計作業を行い、とりまとめたものとなっている。報告書では冒頭で、「情報セキュリティ産業の健全な発展と、その力の正しい活用がなくては、経済社会が安全にインターネットを活用して活動を維持・推進することができない状況にまで至っている」と指摘している。報告書によると、国内の情報セキュリティ市場規模は、2013年の実績はツール市場が4,141億円、サービス市場が3,628億円の合計7,770億円、2014年の予測はツール市場が4,364億円、サービス市場が3,862億円の合計8,226億円と、初めて8,000億円の大台を突破するとしている。2013年の実績の内訳は、ツール市場では「コンテンツセキュリティ対策製品」が1,582億円(38.2%)でもっとも多く、「アイデンティティ・アクセス管理製品」(737億円:17.8%)、「システムセキュリティ管理製品」(605億円:14.6%)と続いた。サービス市場では、「セキュアシステム構築サービス」が1,449億円(39.9%)でもっとも多く、「セキュリティ運用・管理サービス」(1,094億円:30.1%)、「情報セキュリティコンサルテーション」(727億円:20.0%)と続いた。また報告書では、情報セキュリティにおける新しい課題と動きとして「内部関係者の手による意図的な情報漏えい」を取り上げ、組織で働く従業員などの関係者が引き起こす違法(脱法)行為、ルール違反への対応は、顕在化していないものの組織運営を圧迫する大きな要因のひとつであり、社会的に具体的なソリューションが渇望されている分野としている。