独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)は1月19日、暗号化状態でセキュリティレベルの更新と演算の両方ができる準同型暗号方式を開発したと発表した。これにより、データマイニング技術によるサービスなどにおいて、プライバシーに関わるデータを個人の寿命よりも長い期間にわたって安全に利活用することが可能になるとしている。本暗号方式は、データを暗号化する際に暗号文をデータ領域と付加情報に分割し、付加情報を伸ばす技術を新たに開発したことにより実現したもの。これにより、安全なデータ利活用の期間を100年以上に伸ばすことが可能になる。また、大幅なシステム変更を伴わずに、より強固な暗号システムへの移行が可能となるため、ITコストの節減にも有効としている。暗号化されたデータのクラウドサーバ上での統計処理を想定した実証実験では、100万件のデータに対する線形回帰計算を暗号化したまま行い、30分程度で処理ができることを確認したという。また、セキュリティレベルを更新する機能を持たない従来研究と同じデータセットを用いて比較したところ、平均して100倍程度高速になることを確認した。