米ラスベガスで毎年8月に開催される国際会議 Black Hat USA には、世界中の情報セキュリティの専門家・研究者が集まり、さまざまなテーマのもと発表や議論が行われ、専門家同士の情報共有が行われる。Black Hat に限らず、世界中にこうした専門家コミュニティが存在し、その活発さの度合いに差はあれど人的・組織的な情報共有が行われている。
こうした情報共有体制が実現するためには、ファイルサーバ、ADサーバ、DBサーバなどの、主要な攻撃対象となるサーバにも、たとえばマイクロソフト社のようなベンダが、攻撃関知時にアラートを XML などの形式で発信するようなセンサーを、開発段階から実装するような、セキュリティ機器にとどまらないセンサー網の普及が必要となるだろう。
以上の仮説のもと、Black Hat USA 2014 に集まった、世界各国のエキスパートや研究者の協力を得て、「脅威情報共有の未来像」について横断的なインタビューを行った。
【Lukas Grunwald(ルーカス・グルンワルド)氏】
Lukas Grunwald:ドイツ在住。DN-Systems社代表。セキュリティやeコマースのコンサルタントを務めるかたわら、IT専門誌にも寄稿。2006年の Black Hat USA にて Eパスポートのクローンや攻撃について講演を行う。
「これまでは HP や Checkpoint など、顧客の元にたくさんのネットワークやセキュリティ機器を置いている企業が、そこから集まる情報を集積してインテリジェンスを得るやり方が一般的でした。しかし最近、金融産業内で情報共有を行う「FS-ISAC (Financial Services Information Sharing and Analysis Center)」のような情報共有の仕組みが生まれており注目しています。」
「情報共有については大賛成です。すでにそういう試みはいくつもあって、STIX(Structured Threat Information eXpression)などがそうでしょう。実現するための課題になるのは、どういうデータを共有するか、どう分析するか、そもそも脅威をどう定義するか、最後に誰がデータを保有するか、だと思います。」