1.概要Adobe Acrobat/Reader には、Javascript API のセキュリティ制限の実装に起因して、情報漏えいが発生する脆弱性が存在します。ユーザが悪質な PDF ファイルを閲覧した場合に、リモートの第三者によってシステム上の重要な情報を不正に取得される可能性があります。脆弱性を悪用された場合の影響度が高いため、影響を受けるバージョンの Adobe Acrobat/Reader を利用するユーザは可能な限り以下に記載する対策を実施することを推奨します。2.深刻度(CVSS)4.3http://nvd.nist.gov/cvss.cfm?version=2&name=CVE-2014-0521&vector=%28AV:N/AC:M/Au:N/C:P/I:N/A:N%293.影響を受けるソフトウェアAdobe Reader X (10.1.9) 以前Adobe Reader XI (11.0.06) 以前Adobe Acrobat X (10.1.9) 以前Adobe Acrobat XI (11.0.06) 以前4.解説Adobe Acrobat/Reader では、複数の JavaScript 拡張機能 (API) をサポートしています。これら JavaScript API は、セキュリティの関係上、特権の有無によって、実行可能なメソッドが制御されていますが、信頼済み関数 (trustedFunction)※1 を利用することで、その制限が解除され、セキュリティ上制限のあるメソッドが実行可能となります。Adobe Acrobat/Reader には、JavaScript インタプリタにおいて、setter メソッドから app.trustedFunction メソッドを呼び出す際のセキュリティ制限の実装に不備があります。このため、Acrobat/Reader の Javascript API として公式にサポートされていない DynamicAnnotStore メソッド※2 を利用して setter メソッドを呼び出すことで、本来実行することができない readFileIntoStream※3 などの特権付きのメソッドを呼び出すことが可能な脆弱性が存在します。この脆弱性を利用することで、リモートの攻撃者は、Adobe Acrobat/Readerを実行するユーザの権限でシステム上の任意のファイル情報を窃取することが可能となります。※1 http://help.adobe.com/livedocs/acrobat_sdk/9.1/Acrobat9_1_HTMLHelp/wwhelp/wwhimpl/js/html/wwhelp.htm?href=JS_API_AcroJS.88.167.html※2 http://help.adobe.com/livedocs/acrobat_sdk/10/Acrobat10_HTMLHelp/wwhelp/wwhimpl/common/html/wwhelp.htm?context=Acrobat10_SDK_HTMLHelp&file=JS_API_AcroJS.88.1248.html※3 http://www.dsto.defence.gov.au/sites/default/files/publications/documents/DSTO-TR-2730.pdf5.対策以下の Web サイトを参考に、下記のバージョンの Adobe Acrobat/Reader にアップデートすることで、この脆弱性を解消することが可能です。あるいは、Adobe Acrobat/Reader の JavaScript 機能を無効にすることで、この脆弱性による影響を回避することが可能です。 - Adobe Reader X (10.1.10) 以降 - Adobe Reader XI (11.0.07) 以降 - Adobe Acrobat X (10.1.10) 以降 - Adobe Acrobat XI (11.0.07) 以降APSB14-15https://helpx.adobe.com/jp/security/products/reader/apsb14-15.html6.ソースコード(Web非公開)(執筆:株式会社ラック サイバー・グリッド研究所)※Web非公開該当コンテンツ閲覧をご希望の方はScan Tech Reportにご登録(有料)下さい。Scan Tech Reporthttp://scan.netsecurity.ne.jp/archives/51916302.html