フィッシング対策協議会は7月16日、「フィッシングレポート2014 - 急増する不正送金とフィッシング -」を公開した。本レポートは、同協議会のガイドライン策定ワーキンググループにおいて、フィッシングの被害状況、フィッシングの攻撃技術・手法などをとりまとめたもの。フィッシングの動向から手口の変化、対策事例などがまとめられている。レポートによると、フィッシング情報の届出件数は対前年度で約17倍以上(2012年度828件、2013年度15,171件)と急増した。一方でフィッシングサイトの件数(2012年度2,286件、2013年度2,522件)、ブランド名を悪用された企業数(2012年度117件、2013年度136件)は、前年に比べそれほど大きな変化はなかった。これは、フィッシングの対象となるブランド数が頭打ちの傾向にあること、つまり犯罪者がターゲットとするブランドが固定化しつつあることを示しているという。2012年に大きく増加したフィッシング被害は、2013年に入ってさらに急増しており、深刻化している。特に問題になっているのは、昨年のフィッシングレポート2013で指摘したマルウェアを用いた手法による被害。インターネットバンキングに係る不正送金事件は、平成24年には64件、約4,800万円だった被害額が、平成25年には1,315件、約14億600万円の被害が発生しており、前年比29倍に達した。レポートでは、米Gartner社による、金融機関における不正ソフトウェアによるオンライン口座乗っ取りの対策技術についても紹介している。