トレンドマイクロ株式会社は7月17日、複数の国の政府関連機関を狙う標的型攻撃を6月初旬に確認したと同社ブログで発表した。この標的型攻撃において確認されたメールは中華人民共和国国防部を装っていたが、問題のメールはGmailのアカウントから送信されており、送信者の名前は中国名ではなかった。問題のメールに添付されていた文書ファイル(「TROJ_DROPPER.IK」として検出)は、Microsoft Officeに存在する脆弱性「CVE-2012-0158」を利用するもので、バックドア型不正プログラム(「BKDR_HGDER.IK」として検出)が作成され、Webサイトや Eメールアカウントのログイン情報 をInternet Explorer(IE)やMicrosoft Outlookから窃取する。窃取された情報は、香港に位置する2つのIPアドレスにアップロードされる。今回の攻撃は、主にヨーロッパおよびアジアの政府関連機関の職員を狙っていた。問題のメールはヨーロッパ諸国だけでも16人の政府機関職員に送信されていた。また、メールおよび添付ファイルの議題は、これら標的者の関心を呼ぶものだったと考えられる。さらに、これまでの大企業や組織を狙う標的型攻撃と同様に、IEやOutlookのようなアプリケーションの保持する情報が窃取されている点も注目すべきとしている。一方で、今回の攻撃において、中国の報道機関もまた標的となっていた。また、問題のバックドア型不正プログラムは、興味深いことにアジア圏の中でも中国および台湾で頻繁に感染が確認されている。