トレンドマイクロ株式会社は7月16日、思いがけない脅威を組み合わせた珍しい攻撃が確認されたと同社ブログで発表した。この攻撃は、JavaおよびPDFファイルに存在する脆弱性を利用するエクスプロイトコードを含んだエクスプロイトキットを利用し、脆弱性が存在するPCにファイル感染型ウイルス「PE_EXPIRO」をもたらす。この「PE_EXPIRO」は、典型的なファイル感染型ウイルスとは異なり、情報収集機能を備えていることが注目すべき点としている。この「PE_EXPIRO」と呼ばれるファミリは、2010年に初めて注目されている。収集する情報は、WindowsのプロダクトIDやドライブボリュームのシリアル番号、Windowsの種類といったコンピュータの情報やユーザのログイン認証情報。また、FTPクライアント「Filezilla」にログイン認証情報が保存されている場合、そのアカウント情報を収集する。収集された情報はDLLファイルに保存され、複数のC&Cサーバへアップロードされる。今回の感染確認総数の約70%は米国内で確認された。またこの攻撃は、特定のFTPクライアントを対象としていることから、組織からの情報を収集し、またはWebサイトの改ざんを目的としている可能性があるとしている。脆弱性を利用し、情報収集機能を備えるファイル感染型ウイルスをもたらすといった複数の脅威を組み合わせた攻撃は、非常にまれであり、この攻撃がすぐに入手可能なサイバー犯罪用ツールを利用したものではないことを物語っていると指摘している。