原発事故に動揺しながらも被害を過小に認識(原子力安全・保安院) | ScanNetSecurity
2024.04.16(火)

原発事故に動揺しながらも被害を過小に認識(原子力安全・保安院)

原子力災害対策本部の議事内容が、参加した当事者のメモや録音などから、不完全ながら説き起こされた。9日、原子力安全・保安院が公表した。

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原子力災害対策本部の議事内容が、参加した当事者のメモや録音などから、不完全ながら説き起こされた。9日、原子力安全・保安院が公表した。

発災当時の原子力災害対策本部は、菅直人首相を本部長に政府一体で構成されている。すべての閣僚が出席し、本来であれば、その議事録は福島原発の事故対策の一部始終が判明するはずだった。しかし、その責任を負う保安院は記録を忘れ、現実には議事録どころか議事概要すら残されていない。

今回、公表された議事概要は、批判を受けた保安院が、関係者の協力を仰ぎ、急遽、復元したものだ。関係する省庁など12の部門から出席者の残した個人的なメモや録音を手がかりに、箇条書きにした。

その内容から浮き彫りになるのは、政府が想定を超える原発事故に動揺しながらも、被害を過小に認識している姿だ。当時の会見では保安院も東京電力も頑なに否定したメルトダウンも、昨年3月11日の震災当初から議論されていたこともわかった。

ただ、こうした数々の問題点が浮かび上がる内容ですら、議事概要としては完全なものではない。概要のとりまとめを担当した原子力安全調整官は言う。

「23回までの議事概要をまとめたが、その情報量は大きく異なっている。昨年3月11日の第1回から同17日の第10回までは、資料のほとんどない非常に厳しい状態で復元したので、(できばえが)どのくらいというと(精度は)落ちる。どのくらい復元できたかは評価できない」

議事概要は体裁は整っているが、調整官によると10回までの議事概要では、例えば、会議時間について開会時間は判明しているが、閉会時間がわからない。また、配付資料も、事態が刻々と変わっていったため、その場で追加資料が出ている可能性もあり、記された配付資料がすべてかどうかもわからないという状態だという。

3月21日の11回以降は、状態はよくないものの録音から文字を起こしているため、それ以前と比較すると発言概要の記載量も多くなっている。だが、それすら、発言者が誰かを特定することはできていない。

作成の資料となったメモや録音は、公文書として保管されるという。

公表された議事概要は、このほかにも緊急災害対策本部会と政府・東京電力統合対策室特別プロジェクト全体会議議事メモなどがある。

議事概要の詳細は、原子力災害対策本部は、官邸のトップページから「原子力災害対策本部」のリンクをたどる。

政府・東京電力統合対策室の議事概要は、原子力安全・保安院のトップページから「東日本大震災の影響について」のページに入り、その中程にある「政府・東京電力統合対策室関連情報」の議事概要で閲覧することが可能だ。

原発事故対策の議事概要、復元するも不完全

《中島みなみ@レスポンス》

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