株式会社Kaspersky Labs Japan(カスペルスキー)は11月30日、ロシアKasperskyが11月7日に公開したリリースの抄訳として、2011年10月度の「マンスリーレポート」を発表した。レポートでは、10月のハイライトとして「Duqu」を挙げている。このトロイの木馬は、最初のサイバー兵器として知られる「Stuxnet」ワームとの類似性を数多く有していることから、高い注目を集めた。しかし、特に大きな相違点としてDuquにはStuxnetのような産業システムを標的とする機能が搭載されておらず、代わりにスパイ型トロイの木馬モジュールが含まれている。こうした特長は、Dequの主な目的が産業妨害工作ではなく産業スパイ活動であることを示唆しているという。個人ユーザへの攻撃では、ドイツの5つの連邦州が、捜査においてトロイの木馬「Backdoor.Win32.R2D2」を使用したと認め物議を醸した。ドイツの連邦法が当局に傍受を容認しているのは容疑者のSkypeトラフィックのみであるのに、そのトロイの木馬はそれ以外のプログラムのスパイ機能を備えていた。このケースは、いわゆる「政府製トロイの木馬」の存在と、その使用に関する法律上の問題を再提起した。またレポートでは、10月はAndroid 向けマルウェアの総数がJava 2 Micro Edition向けの総数を上回り、モバイル向け脅威の世界でもターニングポイントとなったとしている。このほか、Mac OS Xを狙うトロイの木馬や、国家組織および企業ネットワークへの攻撃を紹介している。