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2017.12.15(金)

公文書管理法とシステム化 第2回「システム最適化方針」

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公文書管理法の制定を機に、行政文書の取得・作成から移管・廃棄に至るライフサイクルを通じて一貫した電子的処理を実現する文書管理システムを整備する「文書管理業務のシステム最適化計画」を、総務省を中心に検討してきました。今回はこの文書管理業務のシステム最適化計画について概要を報告します。

1.公文書管理システムの課題

文書管理業務システムとは、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)に規定する行政文書の取得、作成、起案、決裁、保存及び廃棄等に係る業務を処理するシステムのことです。
各府省においては、「総合的な文書管理システムの整備について」(H12.03.29)に基づき、各府省がそれぞれ文書管理の実態に即した任意の仕様で総合的な文書管理システムを整備してきました。しかし、現状の各府省における文書管理業務システムには、以下のような基本的で重要な課題がみられました。

(1)電子的に取得・作成された行政文書(電子行政文書)と行政文書ファイルを関連付けて効果的に管理できていない

(2)未だ総合的な文書管理システムにおいて電子決裁機能を整備していない府省がみられる。また、電子決裁機能を整備している府省においても、操作方法が煩雑であることなどの理由から職員の利用は低調なものとなっている

(3)関連する他のシステムとの連携を含め行政文書の取得・作成から移管・廃棄に至るライフサイクルを通じて一貫した電子的処理を実現する文書管理システムが未整備で、各府省が個別に同種の機能を開発・運用していることから、政府全体として効率的な予算の執行が図られていない

2.システムの最適化

政府では上記課題を踏まえ、「業務処理過程の電子化」「システムの効率化・高度化」「操作性の向上・利便性の向上」「情報の不正操作や情報漏えいの防止等の安全性・信頼性の確保」を基本理念として定め、文書管理業務・システムについて次に掲げる最適化を実施することになりました。

(1)情報システムに係る重複の排除
総務省は、政府全体で利用可能な一元的な文書管理システムを整備。各府省は、段階的に一元的な文書管理システムに移行する。

(2)一元的な文書管理システムの利用促進
総務省は、一元的な文書管理システムにおいて、高いユーザビリティを確保する。また、一元的な文書管理システムの利用状況を把握し、各府省と連携を図りつつ、その利用促進に努める。 各府省は、業務処理過程の電子化を一層推進する観点から、現行の文書管理規則について見直しを実施する(総務省は、文書管理規則の見直しの参考とするためのガイドラインを作成)。

(3)信頼性・安全性の確保
「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準」(H17.12.13情報セキュリティ政策会議決定)を踏まえ、職員等利用者認証基盤を活用した主体認証や、アクセス制御、アクセス記録取得、ウィルスチェック等のセキュリティ対策を実施する。ファイルサーバの検討と併せて、バックアップシステムについて検討する。

(4)その他
文書の作成段階からの適正な管理を実現する観点から、ファイルサーバにおける文書管理のあり方を検討する。
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3.IT対応の具体的方策

文書管理業務システムの最適化に当たり、IT対応の側面について次のような具体的な方策を政府は示し、整備を進めています。

(1)統一基準の策定
公文書管理担当機関は、紙文書と電子文書を通じた統一的な基準を定めるとともに、電子文書の管理状況に関する報告徴収や実地監査等を行う。

(2)関連システムとの連携
電子的に作成された文書の利便性、有用性を生かすとともに、適正な情報管理を行うため、一元的な文書管理システムを整備し、文書管理システムと個別業務システムの連携を図る。また、霞が関WAN・総合行政ネットワーク(LGWAN)間の文書交換を含め、文書交換システムの活用を促進する。

(3)安全性の確保
一元的な文書管理システムの整備に当たっては電子文書の管理・取扱ルールを確立し、業務の効率化や適正な情報管理を図る観点から、分類基準に沿って適切に管理できる機能、電子決裁機能、情報の漏えい、改ざん等不適切な取扱いを防止する機能等を盛り込む

(4)メタデータの標準化
情報の検索の容易性や知識基盤としての活用を促進する観点から、メタデータの標準化を図り、システムの検索機能を充実する。

(5)効率的・効果的な情報管理
一元的な文書管理システムの利用に当たっては、各府省は、業務の効率化や効率的・効果的な情報管理を図る同システムの趣旨を踏まえた主な取り組みを進める。

・紙の文書も含め、文書の所在等に関する情報は、集中的に管理する
・決裁に係る案件は、原則として一元的な文書管理システムを利用して電子的に行う
・文書の登録状況や電子決裁の利用率など一元的な文書管理システムの利用状況について把握できるようにする

(6)電子的に移管・保存
文書管理サイクルの中で、電子的に作成された文書が、各府省において適切に保存され、国立公文書館に電子的に移管・保存されるよう、公文書管理担当機関は「重点計画-2008(平成20 年8 月20 日IT戦略本部決定)」等に沿って、国際標準も踏まえた媒体変換ルールや長期保存フォーマット、メタデータの在り方等を検討し、各府省における作成・保存の段階からこれらに対応する方策を講じるとともに、国立公文書館への電子的な移管・保存のためのシステムを構築する。

(7)デジタルアーカイブ化
所在情報の一元的な把握・検索機能一般の国民や海外から公文書をより利用しやすくするため、国立公文書館やアジア歴史資料センター等におけるデジタルアーカイブ化、システムの機能強化、地方公文書館や関係機関と連携した所在情報の一元的な把握・検索機能の充実等を推進する。

公文書管理法 法案
http://www.cao.go.jp/houan/171/
文書管理業務のシステム最適化計画
http://www.e-gov.go.jp/doc/pdf/20090828doc2.pdf
セキュリティ対策コラム
http://www.nttdata-sec.co.jp/article/

(林 誠一郎)
《ScanNetSecurity》

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