外相はイスラエルのLieberman外務大臣とも会談した際、問題についての深い不満を強く示した。また、英国政府は、英国パスポートの不正使用が今後、起こらないという保証を、イスラエルに求めているという。英国パスポートの不正使用について激しい怒りを表明しているものの、マブフーフ司令官殺害について、イスラエルを直接非難することは避けている。しかし、偽造パスポートがいかにして作られたのか、英国版FBIとされる重大組織犯罪局(Serious and Organised Crime Agency:SOCA)が2月に捜査を開始していて、英国政府ではイスラエルが十分に協力することを求めている。事件についてイスラエル外務省はコメントを拒否している。一方、衛星放送Sky Newsは英国による一連の動きに対する報復として、英国外交官、大使館付き武官をイスラエルから追放する可能性があると、国会議員Aryeh Eldadからの話として、報じたが、これまでのところイスラエル政府も大きな動きは行っていない。●問われるパスポートデータのセキュリティ情報盗難を行った外交官について詳しい情報は明らかになっていないが、英国の大衆紙によると、イスラエルの移民局職員だったという。大臣の1人が、イスラエルの移民局職員がパスポートの詳細情報を不正取得、使用を行ったと話しているそうだ。外務省ではこの報道を認めていないが、英国パスポートの不正は非常に重大な問題として、個人情報の不正使用から英国民を守るために必要な、あらゆる措置を取っていくとの姿勢を明らかにしている。英国人12人のうち11人については、新たにバイオメトリックパスポートが発行された。英国政府が現在発行しているパスポートは全て、生体認証情報を含むものだ。2001年のアメリカ同時多発テロ事件後のテロリズム対策強化もあり、IC旅券に指紋、虹彩などの生体情報を組み込んだ生体認証を個人情報として記録したパスポートの導入が世界各国で進んでいる。今回の暗殺事件では、偽造パスポートの元の持ち主は、バイオメトリックチップのない古いタイプのパスポートを所持していたと、英国とオーストラリア政府が確認した。ただし、英国のCharles Crawford 元大使は、1)本物のブランクのパスポートを不正使用したか 2)実在の人物の、本物のパスポートを不正使用したか 3)実在の人物の、偽のパスポートであったか(氏名、生年月日などのID情報は被害者のもの)4)実在の人物の、偽のパスポートを用いたか(氏名、生年月日などのID情報は別人のもの)が、問題だとする。一方、『samsonblinded.org』は、バイオメトリックパスポートは従来のものより偽造しやすいと書いている。アルゴリズムを破れば、簡単にバイオメトリックチップをつくることができる。一方、※本記事は有料購読会員に全文を配信しました(バンクーバー新報 西川桂子)