そして、規定を守らなかった職員に対しては、厳しい対応を行っている組織もある。例えば、11月1日に、約10万件の患者の情報が入ったノートパソコンが、テキサス州のBaylor Health Care Systemsの職員の車から盗まれたことが明らかになっている。
パソコンに入っていたのは、患者の氏名、受けている治療内容、一部の社会保険番号で、盗難は9月18日もしくは19日に起こっている。被害に遭ったBaylor Health Care Systemsでは、パソコンを車に置いたまま現場を離れることを禁止していた。事件の結果、職員は規定違反を起こしたとして解雇されている。
医療組織のモバイルデバイスのセキュリティについては、米国と英国で行われたアンケートを基にまとめられた『Mobile Device Usage in the Healthcare Sector』という報告書でも、モバイルデバイスの危険に注目している。病院のIT部門にとって頭が痛いのは、この報告書のアンケート回答者のうち5人に1人が、自分のデバイスを用いて、患者のデータを移動していると答えていることだろう。業務において、患者のデータを必要とするスタッフが、組織のデバイスから自分のノートパソコン、スマートフォンやUSBフラッシュメモリにデータに移すことは珍しいことではないようだ。