先回に引き続き、企業が日本版SOXに対応していくためのフレームワークである「実施基準」について、今回は特にITにフォーカスして解説します。IT環境が飛躍的に進展しているため、「実施基準」では、「ITへの対応」について内部統制の基本的要素(注1)として加えています。業務を実施する過程において組織内外のITに対して適切に対応することが、内部統制の目的を達成させるために不可欠になっていることを示しています。一方実施基準では、新たなITシステムの導入や既存システムの更改を要求するものではなく、システム部門ではまず、必要な規定や体制の整備、業務の進め方の見直しなどから進めるべきで、ITを利用しないことが直ちに内部統制の不備となるわけではないとしています。1.基本的枠組み(実施基準1)ITへの対応に関しては、1.IT環境への対応と、2.ITの利用及び統制について説明しています。実施基準では、ITへの対応について具体的にイメージアップできるように、いくつかの例を示していますが、実際には各企業の実情に合わせた形で効果的に実施することが必要です。従って、例示されたものだけに対応すればよいわけではなく、過不足を見極めた検討が基本となります。(1)IT環境への対応組織を取り巻くIT環境を理解して、ITの利用及びIT自身の統制について適切に対応していくことが求められ、「IT環境」として組織が認識、考慮すべき項目が例示されています。<組織が考慮すべきITに係わる項目例>1.社会および市場におけるITの浸透度2.組織が行う取引等におけるITの利用状況3.組織が選択的に依拠している一連の情報システムの状況(情報システムに依拠しているかどうか、依拠している場合にどのような情報システムに依拠しているか)3.ITを利用した情報システムの安定度5.外部委託の状況(2)ITの利用及び統制<ITの利用>ITを利用して、内部統制の他の基本的要素をより有効に機能させ、効率的な内部統制の構築を可能とすることを期待して、内部統制の基本的要素ごとにITの利用イメージを例示しています…東京大学 情報セキュリティコミュニティ副代表 林 誠一郎NTTデータ・セキュリティ | セキュリティ対策コラムhttp://www.nttdata-sec.co.jp/column/index.html── この記事には続きがあります。 全文はScan Security Management本誌をご覧ください。◎有料版Scan申込> http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m02_ssm