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2017.09.25(月)

総務省を提訴した長野県の住基ネットテスト実施者 Ejovi Nuwere 氏の意図

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●問題は住基ネットではなく 官僚主義と政府の検閲行為

 Ejovi Nuwere 氏は2003年に長野県から依頼を受けて、同県の住基ネットのペネトレーションテストを実施した。その後、2004年11月に開催された日本のカンファレンス(Pacsec)において、そのテストに関して発表する予定だった。しかし、直前に総務省からの申し入れによって発表が中止となった。

 くわしい経緯はさまざまなWEBサイトで公開されているが、訴状そのものが掲載されている下記サイトをご覧いただくのが早いと思う。

◇Ejovi Nuwere (イジョビ・ヌーワー)氏、総務省を表現の自由の侵害で提訴
http://metamemos.typepad.com/gt/2004/11/ejovi_nuwere.html

 公判は25日に開始された。
 Scan Security Wire 編集部では公判直前の24日に Ejovi Nuwere 氏にインタビューを行い( http://www.netsecurity.ne.jp/img4/en.gif )、公判にいたる経緯や氏の問題意識を取材した。


>> 住基ネットそのものの技術的な問題はそれほど深刻ではないと考えています。より深刻なのは官僚主義だと思います。


編集部:これまでの経緯について簡単に確認させてください。2003年に長野県の住基ネットのペネトレーションを実施。問題点を報告、その後、2004年11月のカンファレンスでその内容を発表しようとしたところ、総務省からクレームが入り、発表中止となった。現在は表現の自由の侵害で総務省を提訴にいたっている。おおまかにはこのような経緯ですね。

Ejovi Nuwere氏:その通りです。

編集部:カンファレンスでの発表が中止になったのは、総務省からの申し入れが原因ですが、もともとはどのような意図でカンファレンスでの発表をしようとしていたのでしょうか? テストの発注者である長野県側には確認をとったのでしょうか?

Ejovi Nuwere氏:長野県には事前に資料を送りましたが、問題点の指摘は受けませんでした。
カンファレンスではもともと技術的な詳細を発表するつもりはなく、テストを実施した経験をお話し、その上でディスカッションをしたいと思っていました。こういう問題をディスカッションできる場をもつことが今後の日本のセキュリティ水準の向上に重要だと考えていたのです。

編集部:実際には発表前にクレームが入って中止にせざるを得ない事態になってしまったわけですね。

Ejovi Nuwere氏:その通りです。今回の訴訟では、住基ネットそのものについては、お話したくありません。個人的には住基ネットそのものの技術的な問題はそれほど深刻ではないと考えています。より深刻なのは官僚主義だと思います。


>> 一番の問題は政府の検閲 表現の自由という民主主義の基本権利の侵害

編集部:なるほど、今回の訴訟で一番問題として提起したいことはなんでしょうか?

Ejovi Nuwere氏:検閲です。国家が表現に対して検閲をかけて表現の自由をさまたげることは重大な問題だと思います。

編集部:媒体を運営しているわれわれにとっても重要な課題ですね。日本からの支援者というのも多いのですか?

Ejovi Nuwere氏:さまざまな方から支援のメッセージをいただいています。しかし、経済的支援や政治的支援については、いっさいお受けしていません。あくまで中立的な立場で今回の件にのぞんでいます。

編集部:日本の読者に対してメッセージはありますか?

Ejovi Nuwere氏:私は最初、カンファレンスでディスカッションすることで日本のセキュリティを考えるきっかけになればと思っていました。それがこのようなことになっています。表現の自由は民主主義の基本です。検閲が行われ、自由が侵害された時は、誰かが声をあげなければなりません。今回は私が声をあげました。今回の訴訟は勝つか負けるかわかりませんが、政府の検閲に対して表現の自由を訴えるきっかけになれば幸いです。

編集部:ありがとうございました。

編集部では引き続きこの問題についての取材をつづける予定です。
《ScanNetSecurity》

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