ワシントン大学医療センターは12月9日、ハッカーが同センターのシステムに侵入し、何千人に上る患者の個人情報(名前、症状、住所、社会保障番号など)が記載されているファイルをダウンロードしたことを認めた。 情報筋によると、ハッカーは同センターの公開されているウェブサイトを利用し、内部ネットワークにアクセスするためのパスワードを盗むソフトウェアを埋め込んだ。そして5月と7月に、正規のユーザになりすまし、4000人以上の患者記録が保存されている2つのデータベースにアクセスした。ハッカーは犯行の動機を「同センターのセキュリティがいかに脆弱であるかということを世に知らしめるためで、患者情報の販売や不正使用が目的ではない」と述べている。 同センター側は当初、システムへの不正侵入は認めたものの、患者の記録が盗まれたことに関しては否認していた。同センターの患者で今回の事件の被害者であるEdwin Gould氏(65歳)は「病気が公になることで職を失う人が出てくるかもしれない。セキュリティが備わっていないとは、本当に最悪だ」と困惑している。同センターの情報システム担当責任者Tom Martin氏は、脆弱なセキュリティ措置とデータベースの累増する記録がハッカーの侵入を許した要因だとし「不正アクセスを阻止する措置を講じ、セキュリティを強化した」と付け加えた。 現在、米連邦捜査局(FBI)が調査を進めている。