Okta Japan株式会社は4月9日、Okta CEOのトッド・マッキノン氏が描くポストSaaS時代のビジョンについての記事を発表した。
テック業界や投資家の間では昨今、「AIの普及によって、従来のSaaSビジネスモデルが崩壊するのではないか」という、いわゆる「SaaSの死」を巡る議論が活発化している。
現地時間3月31日にトッド・マッキノン氏が出演した米テックメディアThe Vergeのポッドキャスト「Decoder」にて、編集長ニレイ・パテル氏に対し、現在の状況について「大きな壁であると同時に、とてつもなく大きなチャンス」と捉える姿勢を鮮明にしている。
対談の中でパテル氏は、エンジニアがAIを活用して手軽にアプリを構築する「バイブコーディング(Vibe Coding)」の潮流が、Oktaのような専門ツールの脅威になる可能性を問いかけたところ、マッキノン氏は、単一の機能そのものを作ることは可能でも、数千におよぶ複雑なアプリケーションやインフラを「末端まで統合し、その最新状態を維持し続けること」こそが真の価値であると指摘している。
また、企業のセキュリティ担当者には、万全の安全性を担保し、最新の脅威に対応する「説明責任」があり、万が一の際に「コストを抑えるためにバイブコーディングで作りました」という言い訳は通用せず、マッキノン氏は、インフラ向けソフトウェアの分野には、他のカテゴリーとは異なる信頼の重みがあることを強調している。
マッキノン氏が描くビジョンの中心にあるのが、AIエージェントを「デジタル従業員」として安全に運用する未来で、対談の中では、AIエージェント構築ツールの普及で専門家ではない一般の人々までが日常的なタスクの自動化を議論し始めている現状に触れ、時代の大きな転換点を指摘している。
AIエージェントが仕事を奪うという懸念に対し、マッキノン氏は下記の独自のビジョンを持っている。
・エンジニア需要の拡大:生産性の向上によってソフトウェアの総量が10倍になれば、それを保守・スケールさせるための人手はむしろ不足し、5年後には今よりも多くのエンジニアが必要となる。
・次世代人材の重要性:「初級レベルのエンジニアは必要ない」という風潮には違和感がある。従来のやり方に縛られない若い世代こそが、最新ツールを使いこなし、テクノロジーの進化を後押しする原動力になる。
Oktaが創業以来守り続けているビジョンの根幹が「中立性」で、マッキノン氏は、特定のベンダーに依存しないこの姿勢が、ポストSaaS時代にこそ不可欠になると説いている。
