6月 11 日 (水) から 6 月 13 日 (金) まで幕張メッセで Interop Tokyo 2025 が開催された。開催期間各日の来場者は下記の通り。
・ 6 月 11 日 40,544 名
・ 6 月 12 日 45,285 名
・ 6 月 13 日 51,046 名
計:136,875 名 (昨年実績 124,482 名)
この Interop Tokyo で毎回開催されるのが Best of Show Award(ベスト オブ ショー アワード)である。
その年の Interop Tokyo に展示されたか、あるいは Interop Tokyo の ShowNet(出展企業の最新製品で構築される実稼働ネットワーク)に提供された機器や製品の中から、特に優秀なものを選んで表彰する。Best of Show Award 審査員は、大学などで実際に機器選定・導入・運用等を行う教授や、メディアの編集者などで構成される。
大きいコマ数で出展すれば受賞できる出来レースと考えている読者もあるかもしれないが実際はそうではなく(だとするとたとえば近年なら SKY が受賞していないのはおかしい)、審査員は無給、中立公正に審査が毎年行われる。
Best of Show Award の審査員が登壇し、審査結果を公表する講演が例年、開催二日目の朝イチに行われる。都心から約 1 時間の幕張という場所ながら 100 名弱程度のキャパシティの会場が朝から完全満席になり、部屋の後方には毎年 30 名かそこらの立ち見客が出る。
Interop はインフラやハードウェアの印象が強いが Best of Show Award にはセキュリティカテゴリも存在する。本稿はセキュリティカテゴリの受賞製品のみに限定してレポートする。
本年は 70 件の製品・サービスがセキュリティカテゴリにエントリーし、開催に先立って都内で行われた会議による審査の結果 24 件がファイナリストとしてノミネートした。そして、開催前日の 6 月 10 日の午後から夜にかけて審査員が開催準備中の各製品のブースを直接訪問し口頭によるヒアリングを行い、12 件の受賞製品が決定された。

各賞の受賞製品一覧とその贈賞理由は下記の通り。
●受賞製品一覧
グランプリ
・シスコシステムズ合同会社「Cisco AI Defense」AIセキュリティ部門
準グランプリ
・GMO Flatt Security株式会社「Takumi」アセスメント部門
・クラウドストライク合同会社「CrowdStrike Falcon Shield」アセスメント部門
・株式会社アズジェント「Vicarius VRX」セキュリティエンタープライズ部門
・クラウドストライク合同会社「CrowdStrike Falcon Adversary OverWatch」セキュリティ脅威インテリジェンス部門
・ジュニパーネットワークス株式会社「SRX4700 ファイアウォール」セキュリティハイパフォーマンス部門
・シスコシステムズ合同会社「Cisco Secure Firewall 1200 シリーズ」セキュリティエンタープライズ部門
審査委員特別賞
・株式会社アシュアード「脆弱性管理クラウド yamory」アセスメント部門
・A10ネットワークス株式会社「A10 Defend AI Firewall – Thunder 1060S-AI」AI セキュリティ部門
・A10ネットワークス株式会社「Web API セキュリティ – ThreatX by A10 Networks」セキュリティハイパフォーマンス部門
・イルミオジャパン「Illumio Insights」セキュリティエンタープライズ部門
・フォーティネットジャパン合同会社「FortiGate 71G」セキュリティエンタープライズ部門
●贈賞理由
AI セキュリティ部門
本部門は、AI 技術をセキュリティに利用するのではなく、AI の利用環境そのものを保護するためのセキュリティに焦点を当て、今年新設されたカテゴリー。入賞は 2 件で、グランプリが 1 件選出された。
(1)シスコシステムズ合同会社「Cisco AI Defense」
・受賞区分:グランプリ
・概要:AI の利用環境における全ての通信パターンを網羅し、プロンプト部分と LLM エンジンとのやり取りを包括的に保護するソリューション
・特長:エンド・ツー・エンドのセキュリティ対策が実現されており、ユーザーインターフェースにあたるプロンプトからLLMエンジンへの入力、推論のための基礎データ提供、そして結果の返却に至るまで、攻撃されうるあらゆるパターンに対応できる
・差別化ポイント:従来のセキュリティ対策が十分カバーしきれなかった「AI環境特有の攻撃サーフェス」を念頭に設計されており、データ改ざんなどのリスクを包括的に確認するソリューションとして構築されている
・贈賞理由:審査員が米国で開発エンジニアと直接対話した際、天才としか言いようのない技術レベルを感じたと評価、革新的な設計と堅牢な防御機能が評価された
・今後の期待:さらなる運用の自動化や他システムとの連携強化によって、業界全体のAIセキュリティ基盤として普及していくことが期待される