もちろんジャック飯沼の広告のことではありません。
一般に「ジャック広告」と言われるメニューを 7 月から ScanNetSecurity は新たに追加します。広告に関する話をなぜ記事にするのかそれほど食い詰めているのかと問われると確かに創刊以来ほぼ常に食うや食わずの財務状態であることは事実ですがまず事の経緯を書きます。起こったことをありのままに話すぜ、という奴です。
ことの起こりは株式会社ほんにゃら物産(仮称)という会社から「ScanNetSecurity の Web サイトのロゴの脇に、株式会社ほんにゃら物産(仮称)のロゴを掲載させてはいただけまいか、金はいくらでも出す」という問い合わせを、ある日突然いただいたことです。
もちろん「金はいくらでも出す」の部分は脚色です。ただし、ある程度お金に余裕のある会社でもない限りこんなことを思いつかないのはおそらく圧倒的に正しいので、以前記事に書いたような創作(=作り話、虚構)ではなく「脚色」なのです。
そもそも ScanNetSecurity は平均で月間 40 万ページビューという、Web 媒体としては小粒も小粒、多分このページビューで商業媒体として成立させるのは通常不可能。そういう数字です。
規模も小さいですし、何よりセキュリティ媒体というのは仕事の必要上「やむなく」もっと言ってしまうと「義務で」「いやいや」読む媒体なので、当然楽しい気分で ScanNetSecurity にアクセスしてくる人なんてよほどの変態か変わり者以外いるはずもなく、要は広告効果、もっと具体的に言うとクリックされるかというと、猛烈にクリックされるとは決して申し上げることはできません。ですから最初は「こんな媒体にジャック広告を出したいと思う人がいるんだ」という印象でした。
もうひとつ考えたのは「勇気あるな」というか「大丈夫なんだろうか」ということです。本誌読者ならご存知のことと思いますが、ScanNetSecurity は取材対象を「金の亡者」と書いたり「サイコパス」と書いたり「やらかしている人」と書いたり、いずれも全文を読めば必ず最終的に取材対象の魅力として訴求するよう回収するとはいえ、好きなように記事を書いている媒体です。キャンセルカルチャーのこの時代、こんな媒体にジャック広告など掲載したら下手したら(下手しなくても)ブランドの価値が下がりやしないかとむしろ心配になりました。
この相談をいただいて思い出したのは、昨 2024 年夏に、本誌に定期的に寄稿いただいている作家・評論家の一田和樹先生が明治大学の齋藤孝道先生らと一緒に研究機関「株式会社新領域安全保障研究所」を立ち上げた際、記念イベントを ScanNetSecurity と研究所の共催でやりませんかと、一田先生から直接申し出があり「どうせ高橋さんは実(じつ)のあることなど何も喋れないでしょうから最初の挨拶と最後の挨拶だけしてください」と言われたのですが、その際、筆者は「新しく立ち上げる研究機関の記念すべき第一回目のオンラインイベントを ScanNetSecurity と共催でやったりして大丈夫ですか? イメージ悪くなりませんか?」と尋ねました。もちろん本心からの心配でしたがそれに対する一田和樹先生の答えは今も耳に残っていて多分当分消えることはないと思います。
一田和樹「一度ちゃんと言っておきたいと思ってたんですが、高橋さんが考えているほど ScanNetSecurity のイメージは悪くないですからね」
日頃大病院の小児科の医師のような物腰の一田先生の口調にしては強い言い方でした。この言葉には次の二つの意味が含まれていると思います。
(1)ScanNetSecurity のイメージは悪い
(2)だが ScanNetSecurity のイメージはオマエが思っている度合と比べるとそれよりはわずかに良い
一田和樹先生は何かを褒めたり評価するような発言は普段決してしない方です。むしろその正反対の言動を思うがままにしている人物で、したがってこんな発言は滅多に聞けるものではありません。耳に残り決して忘れないと先に書いたのは少々嬉しかったからです。
嬉しいと言えば、株式会社ほんにゃら物産(仮称)からのジャック広告の問い合わせもとても嬉しく、何か問い合わせをもらっただけで、遠くから激励されたような気がして、少し泣けてきたことを思い出します。
ちなみに「物産」などと書くと「三井物産なのか」とか「ははーん ということは MBSD か」などと考える人がいないでもなかろうと思われるのでハッキリ書いておきますが違います。考えてみてください。こんな「オンラインメディア界の SMスナイパー」と呼ばれる ScanNetSecurity に全面広告を出すなんて、あんな伝統と歴史ある日本を代表する大人の企業グループがすることは未来永劫絶対にないでしょう。もしそんな問い合わせが来たらポケットマネーで 10 万円の何かを購入して抽選で読者プレゼントします。本当にやります。揺るぎない自信があるのでスクリーンショット保存をお願いします。
「ほんにゃら物産(仮称)」としたのは筆者が最も尊敬する人物の一人である、植田まさし先生の名作企業マンガの主人公「かりあげクン」さんが勤める会社が「ほんにゃら産業」だったので、それにあやかって「ほんにゃら商事」としようかと最初は思ったのですがすでに同名の X アカウントが存在したので「この方もきっとかりあげクンさんを尊敬していらっしゃるに違いない」と考え消去法で「ほんにゃら物産(仮称)」としたまでです。
さて、問い合わせは嬉しいは嬉しかったのですが、問題点がありました。すなわち、
(1)既存の広告メニューにない商品であること
(2)いくら店(媒体の比喩)を気に入ってくれたとはいえ看板の隅に自分の名を「みつお」よろしく毛筆で書いてしまう(比喩)のはさすがに失礼ではないか、もしそんなことをしたら「『みつお』って誰? 菜々緒に弟でもいたのか?」などとユーザーが混乱しかねない
等々であり、(1)が最も大きい懸念でした。これらを整理する時間的余裕も当時なかったため、結局はお断りすることにしました。ただしお志はありがたく受け取ったとここに書いておきます。
その問い合わせ自体忘れかけていましたが、来期の媒体資料の改稿をしていた際に、問い合わせがあったのだし、まあ 3 年とか 5 年に一回くらい売れればいいか程度の軽い気持ちでメニュー化することにしました。こうすれば「(1)既存の広告メニューにない商品であること」という課題を解消できます。
もし興味のある方はお問い合わせください。ScanNetSecurity のロゴの右横らへんに「Pwned by ほんにゃら物産」というロゴを掲載します。ロゴのアクティブリンク設定は任意、レポーティングはインプレッション数のみの報告でクリック数の報告はありませんのでキャンペーンコードをご自身で設定下さい。

「Pwned by」を「Presented by」とか「Supported by」のような文言に変えることはできません。その理由は大手広告代理店的な世界観がそれらの言葉から漂うからです。pwn の意味や語源を検索せずともすでにご存知の方や「Pwned by」という洒落をわかってくれるようなところ以外とはあまり取引をしたいと思いません。
まずありえないことですが問い合わせが複数あった場合は先着順とさせていただきます。また掲載可否判断の際は、先進的であったり、ゲームチェンジャーであったり、風通しの良い価値の提案があったり、若手のベンチャーであったり、あるいはセキュリティプロダクト開発に挑戦しているベンチャーや日本企業であったり、魅力的なキーパーソンが在籍していたり、抱かれたい(比喩)ハッカーがいたり、といった点を基準とさせていただきますのでご了承ください。
最後に一番大事なことを記しておくと本商品の代理店様へのご案内は原則しない予定です。