「BreakingDown」(https://breakingdown.jp)をご存じだろうか? 現在、日本でもっとも視聴されている格闘技の大会で、専用アプリの他、AbemaTV、YouTube などでも視聴できる。試合時間は 1 分間のみ。登場するのはストリートの喧嘩自慢、地下格闘家、プロボクサー、キックボクサー、総合格闘技(MMA:Mixed Martial Arts)選手、空手家、柔道家、合気道、相撲なんでもありだ。企業経営者やラッパーまで出場する。ルールは立ち技で打撃のみのいわゆるキックルール、MMA ルールのいずれか。プロが喧嘩自慢に負けることもあれば、格闘家が実力を見せつけることもある。CEO は格闘家の朝倉未来、COO は溝口勇児。
BreakingDown に出場して注目されれば人気者になり、YouTuber としてフォロワーとアクセスが激増する。他のチャンネルとのコラボにも呼ばれ、時にはメディアの取材も入る。地上波に出演した選手もいる。出場前はただのストリートの喧嘩自慢が、一夜にしてスターになる。「ブレイキングドリーム」という言葉ができたくらいだ。「BreakingDown」は有名人になって一攫千金を狙う者にとって夢の大会になっている。
●日米そして世界で格闘技が熱い理由
最近は、日本対韓国、日本対ヨーロッパ、国内の地域別喧嘩自慢の対抗戦も組まれており、5 つの階級にひとりずつの選手 5 人で 1 チームとなっている。
BreakingDown では試合だけではなく、ストーリーも重視される。選手の生い立ちや背負っているもの、意気込みがくわしく語られる。
現在、映画も制作中で並行してマンガ化もされるようだ。主題歌が作られるだろうから音楽シーンにも出てくる。映画のオーディションもそのままコンテンツになるだろう。最近発売された BreakingDown COO の溝口勇児の本もベストセラーになっていることから映画やマンガ、主題歌も同様にヒットすることが予想される。格闘技に留まらない社会的ムーブメントになりそうだ。
アメリカでも MMA(Mixed Martial Arts)の大会が増えている。「Active Club」という名称で全国各地に小規模のグループ( 5 人から 25 人)があり、各グループはトレーニングをし、MMA の試合を行う。全国大会のようなものも行われる。すでに全米 34 の州で 46 のクラブの存在が確認されている。カナダでは 12 クラブがあり、ヨーロッパでは 4 カ国に 46 クラブと広がっている。
こちらには「BreakingDown」のようなストーリーはないが、懇親会や結びつきが大事にされる。結束を示すためにステッカーを作ったりするし、新しい仲間を勧誘したりする。
全米に広がったグループとその支援者たちのために、ファンションブランド「Will2Rise」もでき、彼らのためのファッションを提供している。さらに「Will2Rise Records」というラップ中心のレーベルまでできた。日本の BreakingDown が格闘技の枠に収まらず社会的なムーブメントになりつつあるように、アメリカの Active Club も文化的なムーブメントになってきている。
日本の BreakingDown とアメリカの Active Club が異なるのは、Active Club は武装化し、LGBTQ3 や人種別の集会を襲撃し、ひどい時には殺人まで行う点だ。Active Club は RMVEs(Racially or Ethnically Motivated Violent Extremists:人種または民族的動機による暴力的過激主義者)と称されることもある白人至上主義者の組織なのだ。