国連サイバー犯罪条約が「グローバル監視協定」になる危険性 | ScanNetSecurity
2024.04.27(土)

国連サイバー犯罪条約が「グローバル監視協定」になる危険性

 人権派弁護士キャリー・シェンクマン氏によれば、草案のあいまいな文言により、国家がサイバー犯罪関連法を利用して LGBTQ+ の人々、特にトランスジェンダーの若者を犯罪者に仕立てることが容易になっているという。

国際
(イメージ画像)

 サイバー犯罪対策のための国際条約が、データプライバシーと人権を踏みにじる「広範な世界的監視協定」になってしまう恐れがある、と、今週(編集部註:2023 年 8 月 第四週)ニューヨークで最新提案をまとめる会合を開いている国連代表団に活動家らが警告した。

 2 年以上にわたり交渉が続けられてきた国連のサイバー犯罪条約草案の目的は、オンライン犯罪とは何かを定義し、世界規模で広がりを見せている問題に歯止めをかけるために加盟国がどのように協力していけるかを明確にすることである。

 しかし、多くの国々や市民権擁護団体は、この条約(もともとはロシアが提案し、中国、北朝鮮、イラン、ベネズエラ、ニカラグアなどが支持している)が、一見すると国際社会の支持を得たかのように、国境を越えた監視を合法化し、ネット上の言論を犯罪とみなす制度につながってしまうのではないか、という懸念を抱いている。

 同条約の第 6 回交渉会議は月曜日にマンハッタンの国連本部で始まり、代表団は 9 月 1 日までかけて草案を検討した。

 水曜日の記者会見で、人権及びデジタルプライバシーを擁護する人々は、草案の文言が大幅に変更されない限り、同草案は活動家、ジャーナリスト、社会から疎外された集団(言い換えれば、言論とプライバシーを犯罪とみなす強権的体制のもとで常に犠牲となる人々)への迫害を各国政府に許すものになってしまうだろうと警鐘を鳴らした。


《The Register》

編集部おすすめの記事

特集

国際 アクセスランキング

  1. 海外における個人情報流出事件とその対応 第234回 頻発する税務局関連フィッシング(1)税還付フィッシングツールキット

    海外における個人情報流出事件とその対応 第234回 頻発する税務局関連フィッシング(1)税還付フィッシングツールキット

  2. 訃報:セキュリティの草分けロス・アンダーソン氏 死去 67 歳、何回分かの生涯に匹敵する業績

    訃報:セキュリティの草分けロス・アンダーソン氏 死去 67 歳、何回分かの生涯に匹敵する業績

  3. レポート:NSA は、ほとんどのインターネットの暗号を侵害してきた~このあたりも住みにくくなったものだ(The Register)

    レポート:NSA は、ほとんどのインターネットの暗号を侵害してきた~このあたりも住みにくくなったものだ(The Register)

  4. TorがAmazonクラウドでDIYリレーを開始〜構築が容易で安価に実行可能(The Register)

  5. 海外における個人情報流出事件とその対応第226回 米医療機関、患者情報のセキュリティ確保に苦心(2)注意したい、有名人の医療情報のセキュリティ

  6. 米国、英国のプライバシー監視機関が政府の監視を抑制する法的訴訟を提起~プライバシープロテクターが最高裁判所と英国裁判所に NSA、GCHQ の抑制を請願(The Register)

  7. 総資産 2,303 万 3,975 ドル、逮捕された Alphabay 運営者のずさんなセキュリティ管理 (The Register)

  8. フォレンジック・ビジネスがApple FileVaultを1時間未満でクラック〜Passware、Lionの腹をひっかいてディスクに侵入(The Register)

  9. 訃報「伝説のハッカー」ケビン・ミトニック氏 59歳

  10. 中国ハッカーが発表した「自律ルール」日本語訳(全文)(Far East Research)

アクセスランキングをもっと見る

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×