警察へのサイバー犯罪被害の通報や相談、捜査協力内容の不安や警察側の知識不足懸念 | ScanNetSecurity
2024.04.24(水)

警察へのサイバー犯罪被害の通報や相談、捜査協力内容の不安や警察側の知識不足懸念

 警察庁は4月6日、「サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会」の報告書を発表した。

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届出を躊躇させる要因

 警察庁は4月6日、「サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会」の報告書を発表した。

 サイバー事案では、被害者側におけるレピュテーションリスクの懸念等から通報・相談がためらわれる「被害の潜在化」が課題となっており、同会では潜在化の防止のために、関係省庁等と連携した情報共有や、被害者が自発的に通報・相談しやすい環境の整備に向けた方策について議論を行った。

 警察庁が2022年に実施した「不正アクセス行為対策等の実態調査」では、過去1年間に不正アクセス等の被害に遭った行政機関や企業等に対し、届出先機関を調査したところ、「届け出なかった」が最多の43.9%を占め、届出を躊躇させる要因(複数回答)として、「実質的な被害が無かった」が74.4%、「社・団体内で対応できた」が32.6%あった。

 検討会では、通報・相談が適切に対応されていない要因として「届出する必要があるかわからない」、「どこに届ければよいかわからない(通報すべき窓口がわからない)」など、犯罪の態様や通報・相談に関する情報不足によるものが見受けられた。

 また、ランサムウェアの被害者に対し警察が実施したアンケートでは、「復旧作業等に対応する中で、捜査協力としてどのような対応を求められるかわからない」「被害に関する情報が外部に伝わってしまう懸念がある」等の捜査協力への不安がある旨の意見も見受けられた。

 個人の被害者については、高齢者や青少年が被害に遭った際に、そもそも被害に遭ったことを認識していない、犯罪に関する知識不足や家族に相談しにくい内容など、被害の通報・相談が行われていない状況があるとしている。

 暗号資産やNFT(NonFungible Token:非代替性トークン)等のいわゆるデジタル資産をはじめとした新たな情報通信技術に関する知識不足や理解不足のため、警察に通報・相談が行われた際に、適切な対応・処理が行われていない状況が発生している件も取り上げている。

 本検討会では、被害の潜在化防止に向けて、関係機関等と連携した通報・相談の促進として、関係機関等との連携強化や、サイバー事案の被害に関する報告窓口の一元化を上げている。また通報・相談しやすい環境の整備として、被害者に対する積極的な情報発信、高齢者や青少年等に対する広報啓発活動、警察における対応改善に向けた取組を挙げている。

《ScanNetSecurity》

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