暗号化チャットサービスの Signal(シグナル)は、英国政府がオンライン安全法案を前進させる場合、英国でのサービス運営を停止するとしている。
英国のオンライン安全法案は、有害な情報から子どもたちを守るため、デバイス側のスキャンを用いて暗号化をバイパスすることを企図している。そのような暗号化迂回はエンドツーエンド暗号化の安全性を崩すことにもなる。現在国会で審議中のこの法案は、この数ヶ月間、論争の的となってきた。
現在検討されている法案は、ソーシャルメディア企業に対し、子どもたちがネット上の有害なコンテンツにさらされるのを防ぐことを義務付けている。また、違法なコンテンツを削除しない、またはネットいじめや自傷行為に関係する投稿を検閲しないといった行為に対しては企業幹部に刑事責任を負わせる。
この法案には、批評家たちが「スパイ条項」と呼ぶ内容が含まれている [PDF] 。 この条項は、子どもの性的搾取と虐待(CSEA)に関する情報や、テロリストのコンテンツを、「公的な発信か私的な発信かにかかわらず」オンラインプラットフォームから削除することを企業に求めている。これを暗号化メッセージにあてはめた場合、コンテンツのスキャンを可能にするため暗号化を解除するか、暗号化の前にスキャンを実行するか、どちらかの対応が必要になる。