今期初め、大手クラウドプロバイダが顧客需要の鈍化を警告したとき、多くの人が、マクロ経済の逆風が収まるまで彼らは設備投資を控えるだろうと予想した。しかし、そうはならなかった。
それどころか、大手クラウドプロバイダは、毎週のように設備投資を進めているのだ。彼らは中南米やサハラ以南のアフリカなど、過去 2 年間でクラウドサービスの需要が爆発的に増加した市場において、新たなキャパシティ、アベイラビリティゾーン(AZ)、リージョンを発表している。
「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud」は、米国と欧州の市場を圧倒的に支配している。もし彼らの思い通りになれば、これらの新興市場においても、さらに大きな権益を握ることになるだろう。
●世界制覇のための足場固め
クラウド・リージョンが成立するためには、インターネットへのアクセスが可能な企業や顧客が大量に存在する必要がある。過去数年間、Microsoft や Google のようなクラウドプロバイダは、このような需要を生み出し、育成するために多大な努力を払ってきた。
Microsoft の「エアバンド・イニシアチブ(Airband initiative)」はその典型的な例である。このプログラムは、地域の ISP や衛星インターネットプロバイダと協力し、2025 年までに世界中で 2 億 5,000 万人の十分なサービスを受けていない人々にインターネットサービスを提供することを目指している。
今週(編集部註:2022 年 12 月 14 日週)発表された同プログラムの最新フェーズでは、アフリカの広大な地域においてデジタルデバイドを解消することに重点が置かれている。国際電気通信連合(ITU)と国際エネルギー機関(IEA)によると、アフリカ大陸の人口 14 億人のうちインターネットにアクセスできるのはわずか 40 %で、6 億人以上が電気のない生活を送っているという。Microsoft は今後 3 年以内に 1 億人のアフリカ人にインターネットサービスを提供することを目指しており、最も遠隔地の住民にサービスを提供するために Viasat(ヴィアサット)と協力している。
