英国コンピュータ科学黎明期のパイオニアとして知られるキャスリーン・ブース教授が逝去した。享年 100 歳であった。
キャスリーン・ヒルダ・ヴァレリー・ブリテン氏は、1922 年 7 月 9 日にイングランドのウスターシャーで誕生した。第 2 次世界大戦中、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校で学んだ彼女は、1944 年に数学の学士号を取得した。卒業後はファーンボローにある研究機関 Royal Aircraft Establishment で下級技師となった。その 2 年後、彼女はバークベック・カレッジへと移り、最初は研究助手として働き、その後に講師、さらには研究員となった。
また、British Rubber Producers' Research Association( BPRRA )にも勤務し、そこで後に夫となる数学者兼物理学者のアンドリュー・ドナルド・ブース氏と出会い、ともに働いた。A・D・ブース氏は、バナール球の発明者で、X 線結晶構造解析を専門とする J・D・バナール教授との研究を経た後、X 線回折データを使って結晶構造の解明に取り組んでいたが、手計算がたいへん面倒であることに気づいた。そこで彼は、この計算の一部を自動化するアナログコンピュータを構築した。
1946 年にキャスリーンとアンドリューは、バークベック・カレッジでごく初期のデジタルコンピュータである自動リレー計算機( ARC )の共同研究に取り組み、その過程で現在同カレッジのコンピュータサイエンスおよび情報システム部門となっている組織を設立した。