株式会社カスペルスキーは12月16日、同社のグローバル調査分析チーム(GReAT)による年次のサイバー脅威動向レポート「2022年高度なサイバー脅威の予測」を発表した。本レポートでは、2022年のグローバルと日本の脅威動向の主な予測についてまとめている。
同レポートではグローバルでの脅威動向として、下記を取り上げている。
・幅広い攻撃にさらされるモバイルデバイス
ユーザーがセキュリティパッケージをインストールできるPCやMacとは異なり、iOSは機能が制限されているか、単純に存在しないため、今後もAPTグループにとって非常に大きな機会を生み出す。
・サプライチェーン攻撃が増加
サイバー犯罪者がベンダーのセキュリティ上の弱点を悪用し、企業の顧客を危険にさらす攻撃は、多数の潜在的な標的への足掛かりを一挙に得ることができ、攻撃者にとっては特に有益で価値のある攻撃手法となっている。
・在宅勤務環境を狙った攻撃の継続
企業ネットワークへの侵入手段として、適切にセキュリティ保護されていない、パッチが適用されていないまま業務に使われる私物コンピューターを狙うサイバー犯罪が今後も続く。
・META(中東、トルコ、アフリカ)地域、特にアフリカへのAPT攻撃活動が増加
META地域における主なAPT攻撃活動はアフリカを標的に。
・クラウドセキュリティ、アウトソーシングサービスに対する攻撃の爆発的増加
ハッキングの影響を受けやすいサードパーティのインフラ上で稼働し膨大なデータを抱えるサービスは、高度なサイバー攻撃の格好の標的になると予測。
・ローレベルの攻撃が復活、ブートキットが再び「ホット」に
ブートキットに関する攻撃者の研究が頻繁に行われていることを観測、隠れた利益がリスクを上回るようになった、またはローレベルの埋め込みプログラムが以前より開発しやすくなった。
・各国が許容できるサイバー攻撃活動を明確化
各国政府はサイバー攻撃を非難すると同時に、自らもサイバー攻撃を行う傾向が強まる。
また日本での脅威動向として、下記を取り上げている。
・モバイルバンキング型トロイの木馬の影響が引き続き増大
2021年第1四半期、第2四半期ともに、日本はモバイルバンキング型トロイの木馬の攻撃に遭ったユニークユーザー数の割合が最も多い国。
・フィッシング標的の拡大
クラウドサービスやインターネットサービスプロバイダー、ドメイン登録サービスなどのアカウントが攻撃インフラとしての利用を目的に狙われるケースを観測。
・標的型攻撃グループの活発な活動が継続
2021年には、JPCERT/CCが「Torisma」、「LCPDot」、「VSingle」、「ValeforBeta」といった新たなマルウェアを使用した攻撃を報告している。
Kaspersky GReATのシニアセキュリティリサーチャー イワン・クフィアトコフスキ(Ivan Kwiatkowski)氏は「予測を共有することで、サイバー空間で今後待ち受ける出来事に対してユーザーの皆様が準備を整えることへの一助になることを願っています」とコメントしている。
2022年に向けたサイバー脅威のグローバル動向予測の全文は、「2022年高度なサイバー脅威の予測」で閲覧できる。