今回公表した「次期サイバーセキュリティ戦略」(骨子)は、サイバー空間そのものが量的に拡大・質的に進化するとともに、実空間との融合が進み、あらゆる国民、セクター、地域等においてサイバーセキュリティの確保が必要とされる時代(Cybersecurity for All)の到来を踏まえ、中長期的視点から2020年代初めの今後3年間にとるべき諸施策の目標や実施方針を提示するとともに、コロナ禍への対応から得られた教訓やデジタル改革、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会での対応を通じた経験を踏まえ、日本のサイバーセキュリティに取り組む決意を発信するもの。 「2020年代を迎えた⽇本をとりまく時代認識」と「基本的な考え」を前提に「サイバー空間をとりまく課題認識」を挙げ、「⽬的達成のための施策」と「推進体制」について詳述している。
またサイバーセキュリティ研究開発戦略(改定案)によると、2018年7⽉に閣議決定した「サイバーセキュリティ戦略」に基づき、戦略期間中の実践的な研究・技術開発に関する取組の具体化を図るという⽬的のもと、研究開発戦略専⾨調査会では「サイバーセキュリティ研究・技術開発取組⽅針」を策定した。取り組むべき課題は以下の通り。
1.サプライチェーンリスクの増⼤
2.サイバーセキュリティ⾃給率の低迷
3.研究・技術開発に資するデータの活⽤
4.先端技術開発に伴う新たなリスクの出現
5.産学官連携強化の必要
6.国際標準化の必要
また、今後の取組強化の方向性としては次の5点を挙げている。
1.サプライチェーンリスクへ対応するためのオールジャパンの技術検証体制の整備
・ICT機器・サービスの信頼性・有効性の検証のためのオールジャパンの体制整備
・ハードウェア・ソフトウェア両⾯の検証技術の研究開発と実⽤化(5Gセキュリティ、チップ脆弱性検知、エッジからクラウドに⾄るまでのハードウェアセキュリティ)
2.国内産業の育成・発展に向けた⽀援策の推進
・「Proven in Japan」推進に向け、⽇本発のサイバーセキュリティ製品・サービス創出・活⽤と信頼性検証のための包括的検証基盤の構築
・中⼩企業のニーズに対応したビジネス創出の⽀援(サイバーセキュリティお助け隊、コラボレーション・プラットフォーム)
3.攻撃把握・分析・共有基盤の強化
・サイバー攻撃把握のための観測技術の⾼度化やAI等の活⽤による分析・解析技術の効率化・⾃動化(NICTER、STARDUST等)
・サイバー攻撃の把握・分析データを共有する基盤(CURE)の構築
4.暗号等の基礎研究の促進
・耐量⼦計算機暗号や量⼦暗号等の安全なセキュリティ技術、IoTデバイスにて活⽤可能な暗号技術の研究・開発
・暗号技術、暗号・セキュリティ製品やモジュール認証等の国際標準化の促進
5.産学官連携の研究・技術開発のコミュニティ形成
・産学官によるコミュニティ形成及び諸外国との連携に向けた検討
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