公正取引委員会は1月18日、「デジタル市場における公正取引委員会の取組」について公表した。同会では「独占禁止法違反行為に対する厳正・的確な対応」、「経済のデジタル化を踏まえた企業結合審査」、「継続的な実態調査の実施等」の対応を行っており、同資料では1月18日時点でのデジタル市場に関連する同会のこれまでの検討経緯や主な取組をまとめている。同会では「独占禁止法違反行為に対する厳正・的確な対応」として、「デジタル分野における主な事件審査」について、公開された9件のうち約半数の4件がアマゾンジャパン合同会社またはアマゾン・サービシズ・インターナショナル・インクが占めており、他には楽天株式会社が2件、その他は各社1件ずつとなっている。アマゾンジャパン合同会社並びにアマゾン・サービシズ・インターナショナル・インクの事件審査の事例と同会の対応は以下の通り。1.取引上の地位が自社に対して劣っている疑いのある納入業者に対し、在庫補償契約を締結することで、当該契約で定めた額を本件納入業者に支払うべき代金の額から減じるなどの行為を実施対応:公正取引委員会が確約手続通知を行ったところ、アマゾンジャパンから確約計画の認定申請があり、当該計画が独占禁止法に規定する認定要件に適合すると認められたことから当該計画を認定、本件納入業者のうち約1,400社に対し総額約20億円の金銭的価値の回復が行われる見込み2.出品者との間の利用規約を変更し、出品される全商品について最低1パーセントのポイントを付与し当該ポイント分の原資を出品者に負担させる旨の内容とした対応:当該利用規約を修正したため調査終了3.Amazonマーケットプレイスの出品者との間の契約において、価格等の同等性条件及び品揃えの同等性条件を定めることで、当該出品者の事業活動を制限している疑いがあった対応:当該条件の削除等を内容とする自発的な措置を速やかに講じるとの申出がなされ、当該措置が独占禁止法違反の疑いを解消するものと判断し、当該措置が講じられたことを確認の上審査終了アマゾン・サービシズ・インターナショナル・インクAmazon.co.jpウェブサイト上で配信される電子書籍に係る出版社等との間の契約において、価格や品揃え等に係る同等性条件を定めていた対応:当該義務に係る規定を行使しないなどの自発的な措置を講じたとの報告があり、当該措置が競争への影響に係る懸念を解消するものと判断