東京電力エナジーパートナー委託の電話勧誘録音データを編集・改ざん・捏造(りらいあコミュニケーションズ) | ScanNetSecurity
2024.04.19(金)

東京電力エナジーパートナー委託の電話勧誘録音データを編集・改ざん・捏造(りらいあコミュニケーションズ)

東京証券取引所市場第一部上場企業りらいあコミュニケーションズ株式会社は6月16日、同社の鹿児島センターにて不適切な電話勧誘並びに録音改ざん・捏造が行われていたとの報道に対し調査内容を発表した。

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東京証券取引所市場第一部上場企業りらいあコミュニケーションズ株式会社は6月16日、同社の鹿児島センターにて不適切な電話勧誘並びに録音改ざん・捏造が行われていたとの報道に対し調査内容を発表した。

これは2020年1月に、同社が内部通報を受け調査を行った結果、同社鹿児島センターにて東京電力ホールディングス株式会社100%出資会社東京電力エナジーパートナー株式会社から委託を受けていた電話発信業務において、同業務を担当するブースの現場管理者1名による指示の下、不適切な内容の電話勧誘及び当該電話勧誘時の録音音声の不正な編集が行われていた事実を確認したというもの。

同社では東京電力エナジーパートナー社から依頼があり提出した通話録音データ71件の確認や分析、使用PCへの音声編集ソフトのインストール状況、関係者へのヒアリング、メール調査等を実施したところ、当該現場管理者が作成したスクリプトに基づき、電話オペレーター及びその管理業務を担う部下らが、不適切な内容の電話勧誘及び44件の不正な音声編集を行っていたことを確認した。その内訳は以下の通り。なお、本件現場管理者の上長及び本社役職員の関与は確認されていない。

・一部音声を削除したもの:33件
・新たに一から音声を作成したもの:10件
・一部音声を削除し、該当箇所に新たに作成した音声を差し込んだもの:1件

また同社では、本件業務と類似する東京電力エナジーパートナー社及び他の電力会社、ガス会社関連の電話発信業務や成約数に応じ業務料が支払われる等の契約条件のある電話発信業務26業務を対象に、2020年3月に監査部で無作為抽出による通話録音の確認や、音声編集ソフトのインストール状況、関係者へのヒアリング等を実施したが、不適切な内容の電話勧誘及び不正な音声編集は確認されなかった。

同社によると、本件業務は成約数に応じ業務料が支払われる契約形態で業績に直結することもあり、当該現場管理者に不正に向かう誘因が生じたと推察しており、こうした中、本件現場管理者を管理・指導すべき上位管理者は、鹿児島センター内で兼務する他業務への対応に追われていたため、実質的な業務報告・相談先は本社勤務者となっており組織ライン上の監視が行き届きにくい環境にあったこと、他業務とは異なるフロアで行われたため第三者の目に触れにくい状況にあり、かつ他業務との人材交流も限られていたこと、当該現場管理者がPC端末で音声編集ソフトをダウンロード、インストールし、音声編集を行うことを防止する体制や環境が整っていなかったことが不正を容易にしたと考えている。

同社では、鹿児島センターにおける再発防止策として指示命令系統の見直し、電話応対における品質チェック機能の強化、通話録音データ管理の厳格な運用を完了している。

7月7日に同社は、りらいあコミュニケーションズ社関係者が66%を占める人数で構成される再発防止・コンプライアンス向上に関する諮問機関「鹿児島事案を踏まえた再発防止並びに全社コンプライアンス向上のための諮問委員会」を設置したことを公表、1か月程度で再発防止及び全社コンプライアンス向上に関する全体的な方針を取締役会に対し答申した。

7月29日には、鹿児島センターにおける不適切な業務運営に関し、7月28日に消費者庁の立入検査を受けたことを公表、8月7日には代表取締役及び取締役(社外取締役を除く)2名の月額報酬の20%を2020年8月から10月までの3ヶ月間自主返上することを発表した。

8月7日に同社は、「信頼回復に向けた取り組みの基本方針」(大綱)策定を公表、同社が抱える根本的な問題として、不正を引き起こす心理や意識等の企業文化の問題、個別最適を重視するあまり全社的な標準化を怠ったことに起因した問題を挙げ、改善施策として人や課題と向き合う企業文化の醸成と人事施策の推進、全社統一のポリシー・基準の策定と、標準化された運用の実現、支社・支店やコーポレート部門の強化、制度の見直し等を課題としている。
《ScanNetSecurity》

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