特権ID管理保護を提供するセキュリティ企業として業界内で独自の地位を占めるCyberArk社が来春2017年1月、日本法人を設立し、日本市場での本格展開を開始する。講演のために来日したAPJ地域のVPである Vincent Goh 氏と、日本のカントリーマネジャーに就任した 本富 顕弘 氏(両名以下敬称略)に日本市場への展望を聞いた。――これまでCyberArkの製品は、ディアイティ社などを通じて日本で販売されてきました。本格的に現地法人を立ち上げるほど特権ID管理製品が注目を集めている理由を教えて下さい。Goh:元々CyberArkの特権ID管理製品は、スーパーユーザなどの特権アカウントのセキュリティを担保する製品として開発されました。しかし、APTや標的型攻撃による被害が多数報告されて以降、社内に潜入したマルウェアが拡散し、情報収集する動きを封じ込める、いわゆる「内部対策」に、弊社製品が有効であることが理解されてきたことが、関心をいただくようになった大きな理由だと思います。ファイアウォールやIDS/IPSをくぐり抜け、社内ネットワークに到達し、感染することに成功したマルウェアは、潜伏し、ADサーバなどからクレデンシャル情報を摂取するために、非常に高い確率で特権アカウントの奪取を図ります。弊社製品は機密・重要情報の最後の砦である特権アカウントを保護するのです。――CyberArkの特権ID管理製品は世界でどのくらい導入されていますか。Goh:Fortune100のうち45社がCyberArkの特権ID管理を導入している他、グローバル展開する銀行の上位20行のうち17行に利用されています。日本を含むアジア太平洋地域での顧客数は現在350社です。――日本法人の目標と、それを成功させるために重要だと考えていることは何ですか?Goh:公開企業のため具体的数値は差し控えますが、2桁成長を目標としています。そのために重要な要件は、まずエンドユーザーと、そして日本市場のIT導入の要である Sier 企業、この2者にCyberArk製品を正しく理解していただくことだと思っています。本富:カントリーマネジャーとして私は、パートナー政策を最重要視しています。セキュリティは毎日の運用が大事ですから、単にサインだけの契約ではなく、パートナー企業の販売活動を支えるための活動を継続して行っていくことを一番のミッションと考えています。また、特権ID管理は、大きなサーバや重要データベースだけの話と考えられがちですが、各種アプリケーションにも特権アカウントがエンベッドされている場合もありますし、PC端末からサーバへ感染を広げて、最終的にドメインコントローラの権限が奪われる場合もありますから、今後の市場の可能性は大きいと思っています。