2012年に開催されたロンドンオリンピック大会は、大会運営から中継ネットワークに全面的にIP技術を導入した大会でもある。にもかかわらず、重大インシデントゼロという結果で成功裏に終わらせている。そのセキュリティ対策は、どのような戦略に基づき、どのような攻撃があり、どのようにそれを防いだのだろうか。編集部では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(TOCOG:The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)のアドバイザーを務めるフィリップ・モリス氏(BTジャパン CTO)にお願いし、これらの疑問をぶつけてみた。モリス氏は、BTの立場でロンドン大会のネットワーク構築からセキュリティオペレーションまでを担当し、大会を成功に導いたひとりでもある。インタビュー内容を、これから3回に分けてお伝えしたいと思う。第1回は、主に準備期間に的をしぼり、オリンピックセキュリティに対するポリシーや戦略を明らかにしていきたい。第2回では、大会期間中の体制や実際のインシデント対応の事例などを紹介し、第3回はまとめとして得られた教訓と東京大会に求められる対策について述べる予定だ。●ロンドン大会はセキュリティ的に成功だったのかロンドンオリンピックで大会のネットワークインフラや運営のセキュリティを担当したBTのフィリップ・モリス氏(東京オリンピック組織委員会のアドバイザー、BTジャパンCTO)へのインタビューからお伝えする本連載の最後は、ロンドン大会のセキュリティ面での総括と2020年東京大会へ向けたアドバイスをまとめてみたい。まず、モリス氏にロンドン大会は「成功だったのか」という質問をぶつけてみた。結果として大きなセキュリティインシデントも発生せず、大会も無事終了している。表向きには誰もが成功と認める大会ではあるが、内部でセキュリティ対策や防御の最前線で活動したモリス氏の率直な感想を聞きたかったからだ…※本記事は本日配信のScan有料版に全文を掲載しました