Apache Commons FileUpload のマルチパートリクエストの処理に起因する DoS の脆弱性(Scan Tech Report)
Apache Struts や Apache Tomcat で利用される Apache Commons FileUpload に、サービス運用妨害 (DoS) が発生する脆弱性が報告されています。
脆弱性と脅威
エクスプロイト
Apache Struts や Apache Tomcat で利用される Apache Commons FileUpload に、サービス運用妨害 (DoS) が発生する脆弱性が報告されています。
リモートの第三者に利用された場合、CPU リソースを大量消費させ、システムの正常な動作が妨害される可能性があります。
脆弱性を悪用された場合の影響度が高いため、影響を受けるバージョンの Apache Struts および Apache Tomcat を利用するユーザは可能な限り以下の対策を実施することを推奨します。
2.深刻度(CVSS)
5.0
http://jvndb.jvn.jp/cvss/ScoreCalc2.swf?name=JVNDB-2014-000017&vector=(AV:N/AC:L/Au:N/C:N/I:N/A:P/E:P/RL:O/RC:C)&lang=ja&g=1
3.影響を受けるソフトウェア
Apache Commons FileUpload 1.3 以前
Apache Struts 2.3.16 以前
Apache Tomcat 7.0.50 以前
Apache Tomcat 8.0.1 以前
※1 Apache Commons FileUpload を利用する Jenkins, JSPWiki, JXP, Spring, Lucene-Solr, onemind-commons, Stapler, WSDL2c などのソフトウェアもこの脆弱性の影響を受ける可能性があります。
4.解説
Apache Commons は、再利用可能な Java コンポーネントをまとめた Apache プロジェクトです。その中の 1 つである FileUpload は、RFC 1867※2 で規定されるマルチパート形式のリクエストに対応したファイルアップロード機能を提供します。
Apache Struts 2.x および Apache Tomcat 7.x/8.x では、マルチパート形式のリクエストを処理するために、この Apache Commons FileUpload をコンポーネントとして使用しています。
Apache Commons FileUpload には、マルチパート形式のリクエストを扱う際に、Content-Type ヘッダの boundary パラメータを適切に処理しない不備があります。
このため、当該パラメータに 4092 バイト以上の文字列が指定された不正なマルチパート形式のリクエストを処理した場合、無限ループが発生し、大量の CPU リソースを消費してしまう脆弱性が存在します。
この脆弱性を利用することで、リモートの攻撃者は、Apache Commons FileUpload を利用する Apache Struts や Apache Tomcat が稼動するシステムのパフォーマンスを低下させ、システムをサービス不能状態にする可能性があります。
なお、Apache Tomcat 6 の管理アプリケーションの一部で、Apache Commons FileUpload をコンポーネントとして使用しているため、Apache Tomcat 6 もこの脆弱性の影響を受ける可能性があることが発見者である HIRT※3 より報告されています。
但し、当該管理アプリケーションは、認証されたユーザのみが使用できるものであり、脆弱性の影響は限定的であるとしています。
※2 http://www.ietf.org/rfc/rfc1867.txt
※3 http://www.hitachi.co.jp/hirt/publications/hirt-pub14003/index.html
5.対策
○Apache Commons FileUpload
======
以下の Web サイトより、Apache Commons FileUpload 1.3.1 以降を入手しアップデートすることで、この脆弱性を解消することが可能です。
Apache Commons FileUpload 1.3.1:
http://commons.apache.org/proper/commons-fileupload/download_fileupload.cgi
……………………………………………………………………………………………
○Apache Struts
======
以下のサイトより Apache Struts 2.3.16.1 以降を入手しアップデートすることで、この脆弱性を解消することが可能です。
Apache Struts 2.3.16.1:
http://struts.apache.org/downloads.html
……………………………………………………………………………………………
○Apache Tomcat
======
以下のサイトより Apache Tomcat 7.0.52/8.0.3 以降を入手しアップデートすることで、この脆弱性を解消することが可能です。
あるいは、HTTP リクエストを扱う際の Content-Type ヘッダのサイズを 4091 バイト未満に制限することで、この脆弱性による影響を緩和することも可能です。
Apache Tomcat 7.0.52:
http://tomcat.apache.org/download-70.cgi
Apache Tomcat 8.0.3:
http://tomcat.apache.org/download-80.cgi
6.ソースコード
(Web非公開)
(執筆:株式会社ラック サイバー・グリッド研究所)
※Web非公開該当コンテンツ閲覧をご希望の方はScan Tech Reportにご登録(有料)下さい。
Scan Tech Report
http://scan.netsecurity.ne.jp/archives/51916302.html
ソース・関連リンク
関連記事
-
Microsoft Internet Explorer の CTreeNode オブジェクトの取り扱いに起因する解放済みメモリ使用の脆弱性(Scan Tech Report)
-
Microsoft Internet Explorer の CMarkup オブジェクトの取り扱いに起因する 0-Day エクスプロイト(Scan Tech Report)
-
Microsoft Windows の Win32k.sys ドライバの実装に起因する整数オーバーフローの脆弱性(Scan Tech Report)
-
Linux Kernel の compat_sys_recvmmsg() 関数の実装に起因する権限昇格の脆弱性(Scan Tech Report)
Scan PREMIUM 会員限定記事
もっと見る-
研修・セミナー・カンファレンス
マルチクラウドの認証情報管理の勘所 ~ ノックするのは俺(IAM)だ
Blackhat USA 2022において「IAM The One Who Knocks」というタイトルのセミナーがあった。ドラマのセリフにかけたタイトルだが、IAMはIdentity and Access Managementのことだ。つまり、クラウドサービスにおける認証アカウントのことを指す。
-
インターネットアーカイブが出版大手四社に破壊される可能性
3 月 20 日月曜日、大手出版 4 社はニューヨークの裁判所に対し、非営利団体のインターネットアーカイブが運営するオンラインライブラリーを閉鎖し、同団体に損害賠償責任を求める著作権侵害訴訟について略式判決を認めるよう要請した。
-
今日もどこかで情報漏えい 第9回「2023年2月の情報漏えい」メール誤送信で懲戒 ほか
病院は、故意であると断定はできないが当該医師の過失責任は重大であるとし、出勤停止 2 か月間の懲戒処分を行ったが、本人が依願退職した。
-
ランサムウェア感染を隠蔽したソフトウェア企業の末路
2020 年 5 月、Blackbaud はランサムウェアに感染し、黙って犯人に支払いを済ませたが、同年 7 月までセキュリティ侵害について顧客に知らせなかった。
カテゴリ別新着記事
脆弱性と脅威 記事一覧へ

家庭用ルーターの不正利用に注意喚起、設定変更されていないか定期確認を

OpenSSLにリーフ証明書内の無効なポリシーのチェックをスキップする問題ほか

ガスと電気 二大生活インフラにフィッシング注意喚起 ~ 東京ガス 東京電力

ACCS、「海賊版ソフト利用に法的措置」メールに注意呼びかけ

大分銀行、偽のフィッシングサイト例を取り上げ注意を呼びかけ

baserCMS に任意のファイルをアップロードされる脆弱性
インシデント・事故 記事一覧へ

産業保安システムの改修プログラムに不備、事業者の手続履歴に関する情報が約10時間閲覧可能に

「住友不動産のふれあい+S」で3,378件の個人情報がアクセス可能な状態に

福岡県暴力追放運動推進センターにて架空請求詐欺未遂、県民に注意喚起

デジタル庁が確定申告での郵送通知を複数発送

古河電池の今市事業所の社員パソコンがEmotet感染

会津大学でドッペルゲンガードメイン「gmai.com」に誤送信、他機関の事例を受け調査
調査・レポート・白書・ガイドライン 記事一覧へ

サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer3.0公開、求められる視野の拡大

ビジネスの事情把握し絶妙なラインでセキュリティを提案し実行 ~ CAのセキュリティ選任組織

制御システムのセキュリティ自己評価ツール「J-CLICS攻撃経路対策編」を公式が解説

不正アクセス後にとった行動 ~ 3位 盗み見 2位 不正購入

選定時に参考にする第三者認証サービス「クラウドに関するセキュリティ認証」最多

顧客へのフィッシング対策「特に行っていない」38%最多、警察庁調査
研修・セミナー・カンファレンス 記事一覧へ

原点回帰した「MBSD Cybersecurity Challenges 2022」~ 現実さながらの環境に診断を実施 ハイレベルの発表揃い

マルチクラウドの認証情報管理の勘所 ~ ノックするのは俺(IAM)だ

Azure AD おまえもか、クラウド オンプレ両参加のデバイスに潜む危険

NECソリューションイノベータが提供する「ゼロトラスト」のレシピと製法 ~ 3/23 オンラインセミナー開催

おろそかになるゲートウェイ「2022年の事件事故から考えるセキュリティ運用」ウェビナー開催
