サイバー犯罪者に乗っ取られた正規セキュリティソフトが攻撃ツールになる可能性(カスペルスキー) | ScanNetSecurity
2024.04.20(土)

サイバー犯罪者に乗っ取られた正規セキュリティソフトが攻撃ツールになる可能性(カスペルスキー)

 カスペルスキーは、Kaspersky Labのセキュリティリサーチチームによる研究結果を発表した。それによると、正規のセキュリティソフトウェアが、サイバー犯罪者に乗っ取られ、攻撃ツールになる可能性が発見されたという。

脆弱性と脅威 脅威動向
 カスペルスキーは、Kaspersky Labのセキュリティリサーチチームによる研究結果を発表した。それによると、正規のセキュリティソフトウェアが、サイバー犯罪者に乗っ取られ、攻撃ツールになる可能性が発見されたという。

 それによると、Absolute Software社が販売している正規の情報盗難対策ソフトウェア「Absolute Computrace」は、合法的な製品だが、エージェントソフトが事前に承諾を得ることなく実行されているケースが見つかったという。そのために、サイバー犯罪者の強力なユーティリティになりうると見られる。この実行状態は強力で、システムのクリーンアップやハードディスク交換にすら耐え、削除や無効化が行えなかった。

 Kaspersky Security Networkによると、Computraceエージェントが実行されているマシンを使っているユーザーは約15万人。有効化されたComputraceエージェントを持つユーザーの総数は200万人を超えると推定されている。

 現時点で、Absolute Computraceが攻撃用プラットフォームとして使われているという証拠は見つかっていないが、Computraceが許可なく有効化されている点から、攻撃の可能性は高いとみられている。

 Kaspersky Labの主席セキュリティリサーチャーであるヴィタリー・カムリュク氏は、「光ファイバーを盗聴する能力を持つ強力な攻撃者が、Absolute Computraceが稼働しているコンピュータを乗っ取る可能性があります。このソフトウェアを使って、スパイウェアを移植できるのです。推計では、Absolute Computraceソフトウェアが実行されているコンピュータは数百万台にのぼり、そのユーザーの多くはこのソフトウェアが有効化され、実行されていることに気付いていないのではないかと思われます」と、その危険性の高さに警鐘を鳴らしている。

 また、「このソフトウェアが有効になっていることをユーザーに通知し、これを停止、無効化する方法を説明するのがメーカー(この場合はAbsolute Software)の責任です。そうしなければ、これらの独立したエージェントは誰にも気付かれずに実行を続け、リモートでぜい弱性攻撃に使用される可能性が高まるでしょう」と指摘している。

 Absolute Computraceが稼働している地域は、主にロシアと米国だが、日本でも2300~5100台程度で稼働しているとみられる。

正規セキュリティソフトが、攻撃ツールに変身する可能性……カスペルスキーが問題点を指摘

《冨岡晶@RBB TODAY》

関連記事

Scan PREMIUM 会員限定記事

もっと見る

Scan PREMIUM 会員限定記事特集をもっと見る

カテゴリ別新着記事

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×