未成年のスマホユーザー数上昇する一方、フィルタリング利用率は調査開始以来の低水準(デジタルアーツ) | ScanNetSecurity
2024.07.27(土)

未成年のスマホユーザー数上昇する一方、フィルタリング利用率は調査開始以来の低水準(デジタルアーツ)

デジタルアーツ株式会社は、9月10日に「スマホアプリ利用とネット上のコミュニケーション実態調査発表会」を開催した。

調査・レポート・白書・ガイドライン
「スマホ使用率は2011年比で3.5倍増」デジタルアーツ株式会社 経営企画部 吉田明子氏
  • 「スマホ使用率は2011年比で3.5倍増」デジタルアーツ株式会社 経営企画部 吉田明子氏
  • 「情報発信をする際、とくに内容に気をつけていない未成年の割合は45.1%」デジタルアーツ株式会社 経営企画部 工藤陽介氏
  • 「ツールの活用と、学校内、家庭内の会話を合わせた対応を」ネット教育アナリスト 尾花紀子氏
  • 今回の調査結果のポイント
  • SNSへの問題投稿による炎上事件の推移
  • インターネット上の知人と「会ってみたい」と回答した割合
デジタルアーツ株式会社は、9月10日に「スマホアプリ利用とネット上のコミュニケーション実態調査発表会」を開催した。

本調査は、ネット教育アナリスト尾花紀子氏の監修の下、携帯電話・スマートフォンを所持する全国の小中高校生男女618名、及びその保護者618名、合計1,236名を対象とした第4弾となる利用実態調査だ。発表会ではデジタルアーツ社の工藤陽介氏と尾花氏のクロストークも行われた。

第1部では、問題となる未成年のインターネット利用が主題にされた。本調査によると、現在、何らかの形でスマートフォンを使用している未成年の割合は50.0%で、2011年11月の14.4%に比べ約3.5倍に増加している。これに伴いソーシャル系アプリの利用も増え、女子高校生では67.1%が利用。その中でもSNSの利用率は未成年が45.1%と高く、それに対し保護者のSNS利用は28.5%に留まっている。このようにスマートフォンが未成年に浸透する一方で、フィルタリングの利用率は低下を続けている。本年度の調査では未成年のフィルタリングの利用率が32.8%と調査開始以来最低の数字を記録した。

また、SNSを通じて知り合った友達と実際に会うことを望む未成年は39.8%、さらにインターネット上で発信する情報に対して「特に注意していない」と答えた未成年は45.1%にのぼるなどセキュリティ意識の低さがうかがえる内容の調査結果となった。


第2部では、様々なメディアで話題に上る炎上事件が主題にされた。近年の未成年による炎上事件の推移は、2011年頃から急激に増加している。幼少時からインターネットを利用できる環境にある未成年は、会話をするような速さでスマートフォンを入力することができ、さらに24時間利用できる環境に身を置いている。すると、インターネット上でも現実と同様の感覚で会話を繰り広げてしまい、その中の不用意な投稿が炎上事件につながっているのだ。これに加えて、SNSアプリの増加やカメラアプリの急速な進化がある。

特にTwitterは炎上事件の舞台として挙げられることが多く、拡散性がもたらす結果の違いを意識せずに投稿されたツイートがインターネット上のいたるところに拡散され、結果として個人情報を特定されてしまうのだ。また、かつては文章の投稿による炎上が主であったが、最近では写真投稿での炎上が増えている。これは撮影・加工・投稿までがカメラアプリの発達によって手軽にできるようになったことの弊害でもある。撮影から投稿まではほんの数分程度で完了する。投稿した結果を想像し適切な行動をとるだけの時間や手間がかからなくなっているのだ。環境的にも技術的にも、インターネットと現実を明確に区別することが、今の未成年にとっては難しくなっている。

第3部では、工藤氏と尾花氏がクロストークで保護者について言及した。保護者は、とにかく子どもと会話すべきだという。なぜなら、デジタルツールの普及が親子間の会話の減少をもたらし、結果子どもの現状がわからなくなるという悪循環が起こってしまっているからだ。ネットいじめに関しても、かつては裏サイトなどで行われていたものがLINEなどのより閉じた見えない場でなされているのが現状である。尾花氏の元には、見えない場のことをどう見えるようにすれば良いかという相談が寄せられることが多いようだが、見えない場、すなわちインターネット上で解決をしようとするのではなく、会話によってアナログ的に「見える化」することが必要だという。もちろん問題投稿などをしないための情報モラル教育も、会話をする中で行われることが必要だ。

デジタルアーツはこうした調査の結果判明したさまざまな問題への対策としてi-フィルターのスマートフォンアプリの提供や、啓発活動実施団体と連携した活動を行うなど、スマートフォンの適切な利用環境整備に貢献していきたいとしている。
《水田知里》

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