独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は3月25日、企業やその他の組織において内部不正対策の整備を可能にすることを目的とした「組織における内部不正防止ガイドライン」を公開した。組織内部者の不正行為による情報セキュリティ上のインシデントが度々発生しており、顧客情報や製品情報などの漏えいによる賠償や信用失墜など、事業の根幹を揺るがしかねないようなケースが目立ってきている。しかし、内部不正が発生する要因や効果的な対策の検討を要する場合には、それぞれの組織が自らの経験などをもとに個別に対策を講じているのが実情だという。そこでIPAでは、内部不正行為について調査(「組織内部者の不正行為によるインシデント調査」)を行うとともに、内部不正対策を検討する場として、内部不正の知見を有するさまざまな分野の有識者6名からなる「組織における内部不正防止ガイドライン作成委員会」を設置した。本ガイドラインは、これまで内部不正対策について「考えてこなかった」「何をすればよいかわからなかった」という企業であっても、内部不正対策の整備を可能とすることを目指したほか、内部不正防止だけでなく、発生してしまった際の早期発見・拡大防止をも視野に入れた構成としている。また、組織における内部不正の在り方については、基本方針から、資産管理、技術的管理、証拠確保、コンプライアンス、職場環境、事後管理など10の観点のもと、合計30項目からなる具体的な対策を示している。