米ガートナーは、10月16日~20日に開催された『Gartner Symposium/ITxpo』において、企業・組織にとって戦略的な重要性を持つと考えられる、2012年の「戦略的テクノロジー」のトップ10を発表した。 「戦略的テクノロジー」とは、「今後3年間で企業に大きな影響を与える可能性を持ったテクノロジー」とガートナーでは位置付けており、「ITやビジネスに革新を起こすもの」「多大な投資の必要が生じるもの」「導入が遅れた場合に機会損失などのリスクにつながるもの」を含んでいるとしている。 ガートナーが2012年の「戦略的テクノロジー」としてあげたものは、次の10項目となっている(順不同)。(1)メディア・タブレットと次世代型製品 企業は、さまざまなフォーム・ファクタならびに従業員が職場に持ち込む個人所有のスマートフォンやタブレットなどに対応するための取り組みが必要となり、B2E(企業対従業員)環境とB2C(企業対消費者)環境向けの2つのモバイル戦略が構築必須となる。(2)モバイル・セントリック・アプリケーションとインターフェイス タッチ、ジェスチャ、サーチ、音声、ビデオなどに重点が置かれたモバイル・セントリックなインターフェイスが重要となる。(3)コンテキストとソーシャル・ユーザー・エクスペリエンス ソーシャル環境では、アプリケーションのインターフェイスはソーシャル・ネットワークの特性を帯びつつあります。また、検索結果の提供やアプリケーションの使い勝手を改善する上で、ソーシャル情報もコンテキスト情報の重要な情報源になってきている。(4)インターネット・オブ・シングス(IoT) センサとしてのインターネットの役割が広がり、消費者向けデバイスや物理的資産などの物理的なモノにインテリジェント性が付加される。(5)アプリケーション・ストアとマーケットプレイス アプリケーション・ストアからのモバイル・アプリケーションのダウンロード数は、2014年までに年間700億を超えるとガートナーは予測している。(6)次世代アナリティクス 2011年と2012年を通じ、アナリティクスではますます意思決定とコラボレーションに重点が置かれるようになる。(7)ビッグ・データ アナリティクスは、データウェアハウスを促進する重要なアプリケーションとなっており、DBMSの内外におけるMapReduceの使用や、セルフサービス・データマートの使用などが試されている。(8)インメモリ・コンピューティング フラッシュ・メモリはサーバのメモリ階層に新たな層を提供し、スペース、熱、パフォーマンスおよび耐久性の面で大きなメリットをもたらす見込みだ。(9)超低消費電力サーバ 超低消費電力サーバは、一般的にモバイル・デバイスで使われている低消費電力プロセッサを基盤に構築されており、このような低消費電力のサーバ・ユニットと現在のサーバ・アプローチを比較した場合、30倍以上のプロセッサを提供できる。(10)クラウド・コンピューティング 企業は、クラウドへの理解を深める段階から、指定のワークロードへのクラウド・サービスの採用と、プライベート・クラウドを構築すべき分野を決定する段階に移行しつつある。 ガートナーのバイス プレジデント兼ガートナー・フェローのデイヴィッド・カーリー氏は「これらのトップ10テクノロジーは、ほとんどの企業・組織にとって戦略的なものです。したがって、ITリーダーはこれらのテクノロジーを検証するとともに、どのようにすれば自社のニーズを満たすことができるのかを評価し、戦略策定のプロセスにこのリストを組み入れる必要があります」とのコメントを寄せている。