●狙われる米エネルギー省関連の機関パシフィック・ノースウエスト国立研究所の事件では、スピアフィッシングだったらしいというだけで、現在のところ詳しい攻撃方法などは明らかになってはいない。しかし、トーマスジェファーソン国立研究所にも、同時期にスピアフィッシング攻撃が行われた。さらに、エネルギー省の関係機関が狙われた同様の事件は、4月にも発生している。オークリッジ国立研究所のネットワークがハッカーにより攻撃を受け、システム管理者がデータの流出を確認した。そこで4月15日、職員のインターネットへのアクセスを切断した。攻撃は4月7日のことだ。職員数人に対して、スピアフィッシングのメールが送られた。事件後、研究所の副所長であるThomas Zacharia氏は、盗まれたデータは数メガバイトのみと話している。ただし、さらにデータが流出することがないよう、インターネットのアクセスを切断したという。攻撃者はInternet Explorerのゼロディ脆弱性を悪用している。この脆弱性については、4月12日にマイクロソフトがセキュリティ情報を公開し、リモートからコードを実行される恐れがあることから情報漏えいの危険があるとして、緊急のセキュリティ更新プログラムを発表している。Zacharia氏は、研究所職員のうち約530人がスピアフィッシングのメールを受け取ったと述べている。職員の総数は約5,000人で、悪意あるリンクをクリックしてしまったのは57人、実際に感染したPCは2台であった。スピアフィッシングのメールは人事部からと偽ったものだった。職員の福利厚生に関する内容としてメールが送付された。人事部が福利厚生に関するメールを送ってくることは疑わしいことではない。職員がその内容を確認しようとリンクをクリックしてしまった。研究所では、職員のメールアドレスにフィッシングメールが届いているのを探知してブロックしようとしたというが、すでに遅く、システムは感染していた。4月11日に、システムアドミニストレータがサーバの感染を確認し、スタッフが感染したシステムをクリーンアップした。しかし金曜日の夕方、多数のほかのサーバからも流出が始まった。マルウェアは活動を開始するまで、1週間ほど休眠状態だったという。オークリッジ国立研究所も、核兵器不拡散のための活動や研究を行っている。皮肉なことに、※本記事は有料購読会員に全文を配信しました(バンクーバー新報 西川桂子)