日本では、内閣府が従来の危機管理計画とは異なり、企業活動の阻害要因を体系的に整理し、影響度分析を通じたBCPの策定方法等、BCMに係わるガイドラインを国際規格化の動きを視野に入れながら策定し2005年に公開しています。経済産業省では、ITに焦点を当てた検討が進められ、企業をはじめとするユーザ組織を念頭に、実施策等を具体化したITサービス継続性管理(ITSCM:IT Service Continuity Management)のガイドラインを策定し、2008年に公表しました。総務省では地方公共団体におけるICT部門のBCP策定に関するガイドラインを2008年に公表し、自治体でも本格的な取り組みが始まっています。
2002年に英国規格協会(BSI: British Standards Institution)がBCMの一般仕様として「PAS56」(Publicly Available Specification 56:英国国家規格の前段階)を策定し、次いで英国規格としてBS25999が発行され、国際標準の有力候補に挙げられています。BS25999は英国内のみならず、国際的に認知・評価された規格として、世界中のさまざまな企業・組織から高い関心が寄せられており、世界各地域の企業が認証取得したり、取得を計画している模様です。日本でも日本情報処理開発協会(JIPDEC)がBCMS適合性評価制度(第三者認証制度)の実証を2008年8月から開始しています。
米国では、2001年9月11日の同時多発テロ以降、度重なるテロリストからのテロ予告に加え、ハリケーンカトリーナなどの天災により大きな被害を受けたため、米国政府はBCPやDR(Disaster Recovery:災害復旧)の重要性を認識して、2004年にNFPA(National Fire Protection Association)が「NFPA1600」を策定しました。