海外における個人情報流出事件とその対応 第228回 続く情報盗難事件 企業秘密が危ない(2)フォードのシステム設計仕様の盗難 | ScanNetSecurity
2024.04.25(木)

海外における個人情報流出事件とその対応 第228回 続く情報盗難事件 企業秘密が危ない(2)フォードのシステム設計仕様の盗難

●フォードでもあった企業秘密の盗難
企業秘密の盗難については、これまでにも定期的に問題になっている。2009年10月には同じく自動車メーカーのフォード・モーターで、企業秘密の盗難と、保護されたコンピュータへの権限なしでのアクセスにより、47歳の男性が起訴された

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●フォードでもあった企業秘密の盗難
企業秘密の盗難については、これまでにも定期的に問題になっている。2009年10月には同じく自動車メーカーのフォード・モーターで、企業秘密の盗難と、保護されたコンピュータへの権限なしでのアクセスにより、47歳の男性が起訴された。

この男性は、北京出身のXiang Dong Yuで、Mike Yuという名前も使っていた。訴状によると、Yuは1997年から2007年までフォードに製品技師として勤務していて、システム設計仕様文書に関する企業秘密にアクセスを持っていた。

Yuが不正に獲得した情報は、性能要件や、フォードの車両の主な部品の関連試験工程などについてだ。文書は、新しい車両を造る際や、業者がフォードに部品を納入する際に、技術部門スタッフが作成、保管していた。これらの情報は、フォードが研究や設計仕様の改善に、数百万ドルの投資を行い、また数十年という年月をかけてきたものだ。

2005年6月、自動車業界での職を求めて、Yuは中国に渡航しているが、出発前に、システム設計仕様文書を数種類、外付けのハードドライブにダウンロードしていたとされる。中にはYuの業務に全く関係のない文書も含まれていた。これらの重要情報をもって、Yuは中国を訪れた。

この中国訪問では、職を得られなかったのか、Yuは2006年8月に再び職探しを行っている。そして11月には自動車部品メーカーPCE Industryから同社中国支社での仕事のオファーを受けた。Yuは12月になって、そのオファーを受けるが、その後、4000件以上の文書をハードドライブにダウンロードしたとされている。今回、不正に獲得した文書は、フォードのエンジンとトランスミッション実装サブシステムや、配電システム、前部と後部のサイドドア構造といった車体のモジュール、ハンドル組立、計器パネルとコンソールのサブシステムなどだった。

12月の末には、PCE Industryの広東省深セン市にある支社で勤務するため、米国を離れたが、その際、盗んだフォードの文書も持っていったという。新しい仕事については、2007年1月までYuはフォードに対して明らかにしなかった。そして、約1年後に、中国における自動車産業の別会社での仕事に応募する際にも、以前盗んだ情報を使おうとした。

Yuがフォード社の企業秘密を売ろうとしていたことを、フォード社がいかにして知ったのか、明らかになっていない。Yuが盗んだ情報は、フォードのセキュリティ管理により、極秘情報である旨が、はっきりとマーキングされていたという。そのため、Yuがアプローチした会社のほうから、フォード社、もしくは捜査機関に通報した可能性もあるが、経緯は謎のままだ。

●物理的資産より重要な企業秘密
いずれの自動車メーカーの事件についても、容疑者がいかにして、情報を獲得したのか、両社がどのようなセキュリティ体制を取っていたかなど、

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(バンクーバー新報 西川桂子)
《ScanNetSecurity》

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