偽セキュリティ対策ソフトの見破り方 第1回 その動作と特徴 | ScanNetSecurity
2024.03.28(木)

偽セキュリティ対策ソフトの見破り方 第1回 その動作と特徴

2010年6月、IPAは「偽セキュリティ対策ソフト」への注意喚起を促す呼びかけを行いました。本稿は、実態と全体像の把握が困難な偽セキュリティ対策ソフトに詳しい、McAfee Labs Tokyo 本城氏の寄稿により、偽セキュリティ対策ソフトの歴史、犯罪産業としての構造、具体的

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2010年6月、IPAは「偽セキュリティ対策ソフト」への注意喚起を促す呼びかけを行いました。本稿は、実態と全体像の把握が困難な偽セキュリティ対策ソフトに詳しい、McAfee Labs Tokyo 本城氏の寄稿により、偽セキュリティ対策ソフトの歴史、犯罪産業としての構造、具体的な偽セキュリティ対策ソフト名称、実践的対策方法について解明します。

●偽セキュリティ対策ソフトとは何か

偽セキュリティソフトは、セキュリティ対策の効果をうたいながら実際にはそのような機能が存在しないソフトウェアのことを指します。偽のセキュリティ対策といっても、アンチウイルス対策製品を装うものがほとんどでしょう。こういった偽ソフトウェアは、偽のマルウェア感染アラートを表示し、ユーザを脅かして、「正規版」を購入させるという詐欺が目的です。この「正規版」もやはり偽者で、セキュリティ対策機能が実装されているわけではありません。

ところで、偽セキュリティソフトにも通常のソフトウェア製品のように、「SecurityTool」や「SpyPro」、「XPAntivirus」といったブランドが数多く存在しています。また、ブランドごとにたくさんの亜種が日々発見されております。活発なブランドの場合、日に数十も亜種が発見されることもあります。偽セキュリティソフトの数はたくさんありますが、騙す手口や動作はほぼ共通しています。なんらかの方法で、偽セキュリティ製品に感染してしまうと、次のような動作・特徴が見られます。

●システムのスキャンと偽の検知情報の表示

感染するとシステムのスキャンを開始します。表示されるスキャン情報は、完全にあらかじめ作りこんだ「紙芝居」のものもありますし、実際に感染マシンのディスクからファイル・フォルダ情報を読み取り、ランダムにあらかじめ登録してある検知名を対応させ表示させるのもあります。この偽のスキャンの目的は、ユーザにこの偽セキュリティソフトが実際にシステムの感染状況を確認していると信じ込ませ、以後表示される偽のアラートの信ぴょう性を高めることにあります。

図1: 偽セキュリティソフトのスキャンの例: SecurityTool

●偽の感染アラートの表示

スキャンが終了すると次に、「xx件数の感染が見つかった」といった情報を示す感染アラートが表示されます。アラートには、購入手続きを進めるためのボタンが存在しています。例えば以下の図の例では、「Remove all threats now「(すべての脅威を削除)と「Continue unprotected(防御なしで継続)」の二つのボタンがあります。ここで、「Remove all threats now」を押すと、「正規版」の購入サイトへ誘導されます。もし、「Continue unprotected」を押すと一旦は終了しますが、その後購入手続きをすますまで、同様なアラートが繰り返し表示されます。

図2:偽の感染アラート:購入手続きをするまで繰り返し表示される

●「正規版「の購入サイトへ誘導

脅威の削除に同意すると、「正規版」購入サイトへ誘導されます。通常のオンラインショッピングのように、住所やクレジットカード情報を入力するフィールドがあります。また、一般のソフトウェアと同様に1年分のライセンスと3年分のライセンスが選択できることもあります。また、ユーザに正規の製品であると騙すために、偽の認証マークなどが表示されることもあります。偽セキュリティソフトの最終目的は、ここでユーザに購入手続きをさせお金を騙し取ることにあります。

図3:購入画面:クレジットカードの入力を促される

以上が、偽セキュリティソフトに見られる詐欺までの流れです。偽セキュリティソフトはユーザを購入サイトに誘導するために、その他にも様々な手口を使います。その手口をいくつか紹介しましょう。

【執筆】
マカフィー株式会社
McAfee Labs Tokyo アンチマルウエア リサーチ 主任研究員
本城 信輔
《ScanNetSecurity》

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