●企業秘密が危ない燃費に優れ、排出ガスが少ないなど、グリーンな車両として定評のあるハイブリッドカー。環境意識の高まりや、近年のガソリン代高騰を受けて、自動車メーカー各社も開発に力を入れている。21世紀前半の販売戦略で主力を占める自動車だ。このハイブリッドカー技術に関する情報を盗んで、中国の競合会社に売ろうとした夫婦が最近、起訴された。ニュースは7月24日付けでAPが伝えていて、元ゼネラルモーターズ(GM)のエンジニアとその夫が、ハイブリッドカー技術に関する企業秘密を不正に獲得したというものだ。連邦裁判所に起訴されたのは、Shanshan Du(51歳)とYu Qin(49歳)で、容疑は企業秘密の権限なしに保持していたことに関する共謀、詐欺など。ニ人ともミシガン州デトロイト郊外の小さな街に住んでいた。2010年7月に裁判所に提出された起訴状によると、Duは2000年にGMに就職。その後、2003年にハイブリッドカーの技術へのアクセスを得ることができるよう働きかけて、希望どおり異動となった。異動後は、起業秘密に関わる文書を無断でコピーして、夫のQinに渡していたとされている。今回の起訴まで、検察側ではかなりの時間をかけている。まず、2006年5月23日、二人は捜査官が探していた文書を破棄したとして、証拠隠滅の罪で起訴された。これはFBIの捜査官が、大手食料品店のゴミ捨て場にビニール袋数個を捨てたのを確認したというものだ。中身はシュレッダーにかけた書類だったという。その際に捜査官はニ人が捨てた書類も回収している。しかし、証拠隠滅については一旦、不起訴となっている。これは、ほかの容疑での告訴を目指したためという。また、起訴状によると、2005年1月に契約解除が決まってから5日間という短期間に、Duは数千部という文書を不正にコピー。GMと無関係の、Du個人の外付けハードドライブに保管した。その後、2人はMillennium Technology Internationalという会社を設立。中国にあるGMの競争相手、奇瑞汽車(Chery Automobile)に対して、ハイブリッドカーの技術を提供する事業を始めようとした。Qinは周囲の人に、奇瑞汽車と取引があると話していたともされている。奇瑞汽車は中国の自動車メーカーのビッグ5のうちの一社で、米国ビッグスリーの1社GMと、これまでにも意匠権侵害問題で対立したことがある。奇瑞汽車のQQが GM社の「SPARK」(スパーク)に酷似すると、GMが訴訟を起こしたものだ。この件は外観や性能が似ているという話だったが、新技術の情報の不正獲得となると問題は大きい。奇瑞汽車は※本記事は有料購読会員に全文を配信しました(バンクーバー新報 西川桂子)