情報セキュリティの10大潮流 [9] 安全安心な電子社会の構築 第4の潮流「ネットの健全性確保(不正対応への取組み)」【前編】 | ScanNetSecurity
2024.04.20(土)

情報セキュリティの10大潮流 [9] 安全安心な電子社会の構築 第4の潮流「ネットの健全性確保(不正対応への取組み)」【前編】

本連載では、情報セキュリティの進化の中、10大潮流を取り上げています。各潮流は「セキュリティ管理の確立」と「安全安心な電子 社会の構築」の2つのカテゴリ毎にそれぞれ5大潮流を定義して概説し、社会環境の変化とともにその動きを振り返り、将来の方向感についても考

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本連載では、情報セキュリティの進化の中、10大潮流を取り上げています。各潮流は「セキュリティ管理の確立」と「安全安心な電子 社会の構築」の2つのカテゴリ毎にそれぞれ5大潮流を定義して概説し、社会環境の変化とともにその動きを振り返り、将来の方向感についても考えていきます。

10大潮流を「セキュリティ管理の確立」と「安全安心な電子社会の構築」の2つのカテゴリ毎に、それぞれ5大潮流を定義して概説し、社会環境の変化とともにその動きを振り返り、将来の方向感についても考えていく予定です。第9回目はカテゴリ2の「安全安心な電子社会の構築」の第4の大潮流として「ネットの健全性確保(不正対応への取組み)」について説明します。

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ネット社会の安全・安心を確保するために2000年に成立した不正アクセス防止法をはじめとして、個人情報保護法、企業秘密情報の漏洩を対象とした不正競争防止法など、相次いで不正に対応する法規制が制定されています。近年さらにワンクリック詐欺、オークション詐欺、フィッシング詐欺等のネット詐欺や犯罪幇助サイト、ネットいじめ等の違法、有害情報の氾濫や不正の複雑・多様化にともなって、ネット秩序の維持に向けた多岐に渡る法制度等が整備されてきています。

1.有害情報、違法情報

「インターネット・ホットラインセンター」では、インターネット利用者からの違法情報、有害情報に関する通報を受付け、警察へ通報していますが、平成21年上半期にセンターが受理した通報件数は、62,462件(月平均10,410件)という通報状況だということです(前年同期66,832件対前年同期比で6.5%減)。

このうち違法情報について、平成21年上半期は10,573件(対前年同期比6,139件、72.2%増)で、わいせつ物公然陳列と児童ポルノ公然陳列が71.8%を占め、次いで出会い系サイト規制法違反の誘引が9.6%、規制薬物の広告6.6%、口座等の売買6.0%が続いています。また、殺人等の違法行為の請負等に関する情報、集団自殺を呼び掛ける違法情報については、平成21年上半期は3,535件(対前年同期比2,727件、29.6%増)となっています(データは平成21年9月警察庁広報資料による)。

インターネット・ホットラインセンター
http://www.internethotline.jp/
警察庁広報資料(平成21年9月)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h21/pdf51.pdf

2.有害情報、有害サイトへの対応

(1)青少年ネット規制法

青少年をネットの有害情報から守ることを目的とした、いわゆる「青少年ネット規制法」(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)が平成21年4月1日より施行されています。法律では、有害情報として「犯罪や自殺を誘引する情報」「著しく性欲を興奮させる情報」「著しく残虐な内容の情報」などを挙げており、フィルタリングソフト・サービスの普及などを促しています。

携帯電話会社に対しては、未成年が利用する端末へのフィルタリングサービス提供を義務付け、ISP(インターネットサービスプロバイダ)には顧客の求めに応じてフィルタリングソフトやサービスを提供する義務を課していますが、それぞれ罰則は設けていません。

(2)出会い系サイト規制法

「出会い系サイト規制法」は、出会い系サイトの利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、児童の健全な育成に資することを目的に平成15年に制定されました。 その後、出会い系サイトの利用に起因した犯罪が依然として多発していたことから、平成20年に出会い系サイト事業者に対する規制の強化等を図るため一部改正され、 平成20年12月1日から施行されています。

(3)インターネット・ホットラインセンター

日本におけるインターネット上の違法・有害情報の通報受付窓口で、2006年6月1日から運用を開始しています。 センターでは、通報された情報を分析した結果、違法情報であれば警察庁へ通報し、有害情報(公序良俗に反する情報)と判断すれば、プロバイダや電子掲示板の管理者等へ、契約に基づく対応依頼を行います。

(執筆:NTTデータ・セキュリティ株式会社 エグゼクティブ・セキュリティマネージャ 林 誠一郎)

情報セキュリティの10大潮流
http://www.nttdata-sec.co.jp/article/
《ScanNetSecurity》

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