情報に出会いに行こう!ラクにセキュリティの知識を身につける方法 | ScanNetSecurity
2024.04.19(金)

情報に出会いに行こう!ラクにセキュリティの知識を身につける方法

 新しいセキュリティの知識は身につけたいけれど、日々の忙しさのあまり自分で何かを調べてまとめることや、体系立てて学ぶということもなく、だらだらとニュース記事やブログを読むばかり。そんな毎日を送っていないだろうか。

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 新しいセキュリティの知識は身につけたいけれど、日々の忙しさのあまり自分で何かを調べてまとめることや、体系立てて学ぶということもなく、だらだらとニュース記事やブログを読むばかり。そんな毎日を送っていないだろうか。

●情報には出会いに行くものだ

 重要な情報というのは人が教えてくれるものだと思っている筆者は、何か新しいセキュリティの知識を身につける手段の1つとして、しばしば勉強会やセミナーを活用することにしている。忙しくても自分が興味を持ったタイトルがあるときにはなるべく参加する。

 なぜ参加するのかというと、プレゼンテーションを見ることで、ある分野のある切り口を体系立てて知ることができ、その全体像を効率よくつかむことができるからだ。そして、人が話題にしない話というのは大して重要じゃないことが多い。果てしなく広いネットで情報収集にのめり込んで時間を費やしてしまうより、情報に出会いに行くことでラクに必要な知識を身につけることができるというわけだ。

●疑問を解決したとき、知識が身についている

 セミナーなどに参加するときに大事なのは、疑問が湧いたらメモを残しておき、後で調べて疑問を解決する姿勢である。それは、疑問を解決したとき一気にその知識が身につくからだ。

 プレゼンを見るというと講演やセミナーを思い浮かべるかもしれないが、私は勉強会をお勧めする。その理由としては、勉強会を運営するコミュニティの存在がある。疑問をその場で質問してもよいが、他の参加者もいるなか全ての疑問を解決することは難しい。勉強会であればコミュニティが運営しているMLなどもあるので、そこで質問することができる。誰かが疑問に思ったことは、他の人も疑問に思っていることも多いものだ。その質問はコミュニティにとっても役に立つものとなる。

 たとえば『セキュそば』という長野の蕎麦処で年に数回開催される勉強会がある。1泊2日の合宿形式で行われ、セキュリティをテーマに夜通し盛り上がる。セミナーのようにプレゼンを聞くだけではなくほとんどの参加者が何か発表をしている。そして、1泊するということもあり濃い情報交換の場となっている。

セキュそば
http://secusoba.info/

 筆者は情報セキュリティ関係の教育やコンサルを行っているが、ここで得た情報や技術の話などから新しい着想を得ることもしばしばである。そのため東京在住だが、つい長野まで情報に出会いに行ってしまうのだ。まァ、蕎麦が目当てという話もあるが…。

●オープンなセキュリティ勉強会はこの数年ぐらいで登場した

 筆者がセキュリティ系勉強会に参加し始めたのは2000年頃だ。筆者はライターをやっている縁などから、先進的な技術を追いかけている人や研究している人たちの集まりの中にいることが多かった。例えば、Winny対策などネットワークセキュリティで有名なネットエージェント株式会社の代表取締役の杉浦隆幸氏や、国産のアンチウイルスソフトyaraiを作るなどセキュリティの先進的な研究を進めている株式会社フォティーンフォティ技術研究所の代表取締役社長の鵜飼裕司氏、アクセス探偵IHARAとして漫画化もされたJi2, Inc.の伊原秀明氏など著名な方だけでも枚挙にいとまがないほどである。

 当時、カンファレンスはたくさんあったが、勉強会と言えば少人数の仲間内で情報交換をするためものというイメージだった。今のようなオープンな勉強会を見かけるようになったのは2003年頃で、先の伊原氏がオープン形式の勉強会をPort139勉強会(通称:ケーキオフ)という名前で開催するようになったのがきっかけだったと思う。その勉強会は開催数回目で参加者が50人を超えるほどの規模に成長していた。

 最近では100人を超える勉強会も珍しくなく、さらに各地域でご当地セキュリティ勉強会が開催されている。参加できる勉強会の選択肢が増えるのは良いことだろう。

●セキュリティ勉強会はどんなところか

 これから参加しようとする人のためにセキュリティ系勉強会の雰囲気をお伝えすると、10人程度の小規模な勉強会ならば各自がノートPC持ち込みで、ハンズオン形式で学んだり、各々が発表者の役割を担ったりと密度の濃い場となることが多い。

 30人以上の規模の勉強会だと一方的にプレゼンを聞く場になることが多いが、その分他者とのかかわりを気にせず気軽に参加できるとも言える。勉強会に初参加なのであれば、極端に内輪化していない大規模な勉強会から参加してみるのがよいのではないだろうか。

 参加者の多くは同じ業界にいる人で、あなたと同じく何らかの新しい知識を学んで帰りたいと思って参加している。技術系の方々の集まりだからか、ビジネス系勉強会で見かけるような人脈作りにどん欲な人や、商品を売り込む人などはあまり見かけない。

 そして参加費用は有志の方々が手弁当で開催しているため総じて安く「会場費+α」程度のことが多い。有意義な場を提供して頂き、頭が下がる思いである。

 参加したい勉強会を探すには興味を持った分野のコミュニティを探して参加するのがよいが、はなずきん氏が公開しているGoogleカレンダーを利用した「IT勉強会カレンダー」を活用するのもお勧めである。

IT 勉強会カレンダー
https://www.google.com/calendar/embed?src=fvijvohm91uifvd9hratehf65k%40group.calendar.google.com

 思えば、学生時代は授業があって、知識を体系立てて学ぶことができる場が当たり前だったが、社会人になると自ら行動しないと機会はやってこない。セキュリティ知識を身につけるならば、だらだらとネットの記事を追いかけていたり、重い腰をあげて勉強を始めるよりも、勉強会という場に飛び込んで情報に出会いに行った方がラクに知識が身につくのである。

【執筆:株式会社トライコーダ 上野 宣】

<執筆者略歴>
 国立奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 博士前期課程修了、山口英教授の下で情報セキュリティを専攻。
 その後ベンチャー企業で創業メンバー、東証マザーズ上場などを経て、2006年6月に株式会社トライコーダを設立し、代表取締役に就任。現在、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)セキュリティセンター研究員。
 8月12日から16日まで開催される、IPAが主催し経済産業省が共催する「セキュリティ&プログラミングキャンプ2009」で講師を務める他、9月7日から2日間、Webアプリケーションへの攻撃手法とその対策に関する研修を開催予定。


セキュリティ&プログラミングキャンプ2009
http://www.jipdec.or.jp/camp/
「セキュアWebアプリケーション開発」研修
Webアプリケーションへの攻撃手法とその根本的対策を学ぶ
http://www.tricorder.jp/seminar/seminar01.html
《ScanNetSecurity》

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