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2017.11.22(水)

「セキュリティ分野のSaaS市場での成功要因とは?」〜日本エフ・セキュア、国内のSaaS市場へ進出

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日本エフ・セキュア株式会社は、インターネットを経由し、アンチウイルス等の機能をサービス形態で提供する、サービスモデル事業「F-SecureProtection Service」を日本国内で開始する。
フィンランドに本拠を置く同社は、すでにヨーロッパ市場でISP経由でのセキュリティのSaaS市場でシェア1位を示す調査結果が出ている。
ブロードバンドの広範な普及による回線環境の向上と、中小企業を中心とする企業側のアウトソーシングへの意欲によって、今後日本でも大きな成長が見えてきたSaaS市場。すでにマカフィー社などの成功事例も現れている(関連記事参照)。その意気込みと戦略を、同社代表取締役 渡邊 宏 氏に聞いた。

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セキュリティ業界に押し寄せるサービス化の波
〜B2Bウイルス対策市場でロングテールのシッポを伸ばすマカフィー社(1)
https://www.netsecurity.ne.jp/7_7221.html
その(2)
https://www.netsecurity.ne.jp/7_7287.html
その(3)
https://www.netsecurity.ne.jp/7_7341.html

───

Scan編集部:
F-Secure社の、ヨーロッパや北米での、サービス形態でのセキュリティ機能の提供の実績は?

渡邊氏(以下、F-Secure):
「SaaS(Software as a Service)」という言葉を最近よく見かけるが、フィンランド本社が発行するF-Secureの会社概要には、「Security as a Service」というスローガンが2002年から印刷されていた。F-Secureは、早い時期からサービスモデルに取り組んでおり、ISPやキャリア向けに多数の販売実績を持つ。2006年に調査会社の仏 Dataxisが実施した調査結果によれば、ヨーロッパでのISP経由でのサービス形態のセキュリティ市場で、F-secureは34%のシェアを持っている。

ヨーロッパ市場でのシェア

1位 F-Secure社 34%
2位 Symantec社 23%
3位 McAfee社 22%
4位 Radialpoint社 8%
5位 Panda社 6%
6位 その他 7%

※仏 Dataxis2006年調査による

Scan編集部:
これから開始する、日本でのサービスモデル事業の概要は?

F-Secure:
「F-Secure Protection Service」の名称で、個人と法人に向けて提供する。ベータ版を2007年2月末に開始し、4月末には商品として販売開始する予定だ。

個人向けサービスは「F-Secure Protection Service for Consumer」と呼ばれ、エンドユーザーはふだん自分が使うISPのサイトからアンチウイルスソフトをダウンロードし利用する。たとえば、仏Wanadoo社が提供する、「SecuritooAntivirus Firewall」のように、ソフトの名称やGUIを、ISPのブランドに合わせて完全にカスタマイズすることができる点が特徴だ。

Securitoo Antivirus Firewall
http://www.securitoo.com/

「F-Secure Protection Service for Consumer」では、課金はISPとユーザーの契約に基づいて行われ、ISPはユーザー情報と課金情報を管理し、ソフトウェアのシリアルキーを提供する。F-Secureでは、パターンファイルの更新やテクニカルサポートを従来通り行う。

一方法人向けサービスである「F-Secure Protection Service for Business」は、課金がISPとユーザーの契約に基づいて行われ、ISPがユーザー情報と課金情報を管理、シリアルキーを提供し、F-Secureがパターンファイルの更新やテクニカルサポートを行う点は同じだが、「for Business」では企業内管理者がWebページから各端末を集中管理できる点が異なる。

Scan編集部:
世界的に、サービスモデルは成長しているか?

F-Secure:
フィンランド本社では、エンタープライズ向けのライセンス売りの伸びは頭打ちだが、サービスモデルは2005年と2006年を比較すれば57%の伸びを示している。今後は日本市場でもこの傾向になると判断した。

Scan編集部:
F-Secureが提供するサービスモデルは、再販業者となるISPやSIerなどにとってどのようなメリットがあるか?

F-Secure:
接続を提供するISPにとって既存顧客への付加価値提供による顧客単価向上は大きな課題。今後はユーザーにとって、セキュリティが今以上に大きな付加価値になっていくだろう。

また、メガキャリアとの差別化を強く打ち出す必要のある地方のISPなどにアピールすると考えている。機動力の高いISPと協業し、事例を積んで行きたい。

Scan編集部:
今後日本では、セキュリティの、いわゆるSaaS市場は伸びるか?

F-Secure:
人件費の問題から自社にセキュリティ担当者を置くのはむずかしい。また、日々狡猾に高度化していく攻撃に対応し続けることも困難である。そのため、セキュリティ対策機能は社外にアウトソースして、必要な機能をオプションで選ぶやり方が浸透していくだろう。

Scan編集部:
SaaS市場で成功するために何が必要か?

F-Secure:
パートナーとなるISPが重要だ。キャリアにとってアンチウイルスのサービス形態での提供の第一フェーズは終わっていると思う。ほとんどのISPが、サービス形態でのセキュリティ機能の提供を行っている。今後の第二フェーズでは、機能と価格と運用で差別化をどう打ち出すかがカギになるだろう。

そして、その次に重要な成功のためのファクターは技術力だ。

Scan編集部:
技術力とはウイルスの検出率などのことか?

F-Secure:
検出率は当然として、ここで言う技術力とは、インストールの容易さや、わかりやすいGUIなどユーザーインターフェースに至るまでの、「エンドユーザーへの負荷をどれだけ減らせるか」という目的を達成する技術力のことだ。F-Secureの、北米とヨーロッパ市場でのサービスモデル形態でのアンチウイルス提供の6年の歴史をいかしたサービス提供をしていく。

日本F-Secure株式会社
http://www.f-secure.co.jp/

【取材・文:Scan編集部】
《ScanNetSecurity》

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